サルコペニア予防と改善|食事のポイント

サルコペニア対策は、運動と同じくらい食事が大切です。十分なエネルギーとたんぱく質を確保し、食が細い場合には、食べ方や補助食品の活用も含めて工夫します。
たんぱく質摂取量の目安
サルコペニアの予防と改善には、たんぱく質を十分に摂ることが欠かせません。高齢の方は、食事量が減ったり、食べた栄養を筋肉づくりに使いにくくなったりするため、たんぱく質が不足しやすくなります。
健康な高齢の方が筋肉を保つには、1日に適正体重1Kgあたり1.0〜1.2g以上のたんぱく質摂取が目安です。体重60Kgの方なら、1日60〜72g程度が目安です。減量中でも、たんぱく質が不足すると筋肉が減りやすくなるため、肉や魚、卵、大豆製品、乳製品などを組み合わせ、毎食にたんぱく質源を入れることを意識します。
参照:『Protein intake and exercise for optimal muscle function with aging: Recommendations from the ESPEN Expert Group』(Clinical Nutrition)
低栄養を防ぐための食事の工夫
低栄養を防ぐには、たんぱく質を一度に摂るのではなく、朝・昼・夕の3食に分けて摂ることが大切です。1食に偏るより、毎食少しずつ取り入れるほうが、筋肉を保つ栄養を確保しやすくなります。
肉や魚、卵、大豆製品、乳製品は、たんぱく質を摂りやすい食品です。筋肉の働きにはビタミンDも関わるため、食事全体のバランスも意識しましょう。サプリメントだけに頼るのではなく、まずは普段の食事を整えることが基本です。噛みにくさや飲み込みにくさがある場合は、やわらかく調理する、細かく刻む、とろみを付けるなど食べやすい形に工夫します。
食が細い場合の対策
食欲が落ちている方や、一度にたくさん食べられない方は、1回の食事量を無理に増やすより、食事の回数を分ける方法が現実的です。少量でも、エネルギーとたんぱく質をこまめに補うことが大切です。
3食に加えて間食を取り入れる、牛乳やヨーグルト、卵、大豆製品などを少量ずつ加える方法があります。必要に応じて、栄養補助食品やアミノ酸サプリメントを使うことも選択肢です。食べる量が落ちているときは、主食だけで済ませず、少量でもたんぱく質を加えることを意識します。
まとめ

サルコペニアは、加齢に加えて、不活動、栄養不足、悪性腫瘍や心不全、慢性腎臓病などの併存疾患が関わって進行する病態です。筋肉量の減少だけでなく、握力や歩行速度、立ち上がる力の低下を伴い、転倒、骨折、要介護状態、生命予後の悪化につながることがあります。一方で、早い段階で変化に気付き、評価と介入を行うことで、進行を抑えたり改善を目指したりできます。
日常生活においては、ふくらはぎの細さ、歩く速さ、椅子からの立ち上がりにくさなどが手がかりになります。気になる変化がある場合は、年齢のせいと決めつけず、病院や介護の相談窓口で評価を受けるとよいでしょう。下肢を中心とした筋力トレーニング、有酸素運動、十分なたんぱく質摂取を組み合わせ、自分の状態に合った形で継続することが、生活機能と健康寿命を支えることにつながります。
参考文献
『アジアでの新しいサルコペニアの診断基準AWGS2025』(日本カヘキシア・サルコペニア学会)
『Protein intake and exercise for optimal muscle function with aging: Recommendations from the ESPEN Expert Group』(Clinical Nutrition)

