“オランダのモナ・リザ”と呼ばれる理由
《真珠の耳飾りの少女》は、「オランダのモナ・リザ」とも称されるフェルメールの代表作です。暗い背景に浮かび上がる少女の顔、異国風の青いターバン、耳元に輝く大きな真珠が、見る者を一瞬で引き込みます。本作は特定の人物の肖像ではなく、性格やタイプを表す「トローニー」と呼ばれるジャンルに属する作品です。理想化された表情と異国風の装いが、時代を超えた神秘性をまとっています。
本展の日本側監修者である宮下規久朗教授も、記者発表会でこの作品の魅力を「一瞬の表情」にあると解説しました。《モナ・リザ》が永遠を見つめるような普遍性を感じさせるのに対し、《真珠の耳飾りの少女》は、ふと振り向いた瞬間をとらえたような生々しさがあります。半開きの唇、瞳や真珠に置かれた小さなハイライト。それらが、見る人を引き込む大きな要素になっているといいます。
ヨハネス・フェルメール《真珠の耳飾りの少女》1665年頃 油彩、カンヴァス 44.5×39.0 cm マウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague
《青いターバンの少女》から《真珠の耳飾りの少女》へ
宮下教授の解説で興味深かったのは、作品名の変化についての話です。1984年に初めて日本で紹介された際、この作品は《青いターバンの少女》と呼ばれていました。その後、トレイシー・シュヴァリエの小説『真珠の耳飾りの少女』、さらにスカーレット・ヨハンソン主演の映画によって、現在のタイトルが広く定着していきました。
タイトルが変わることで、私たちの視線もまた変わります。青いターバンを見るのか、真珠を見るのか、それとも少女の表情を見るのか。名画の受け止められ方そのものが、時代とともに変化してきたことも、この作品の面白さです。
