アメリカの大学入試で18歳が期待される「自己管理能力」の正体とは?
総合型選抜を利用する大学が増えてきたとはいえ、いまだ「学力試験での一発勝負」という印象が根強い日本の大学入試。一方、渡米33年のジャーナリスト・教育者の冷泉彰彦氏によると、アメリカの大学入試はスポーツ歴やアート歴が重視されると言います。

その理由について、書籍では『個々の人材の実行力を見るため』と述べられています。AI時代では天才的な人材だけでなく『十分な知性と実行力でAIを使う側に回る』人材が求められている、とのこと。
このため、社会に有為な人材を育てることに重きを置くアメリカの大学ではこうした「実行力」を備えた学生が評価される、というわけです。
さらに、冷泉氏はアメリカの大学が学生に求める実行力の具体例として「自己管理能力」、そしてそれが表れる「マルチタスク処理」のスキルを育む重要性について触れています。

例えば、名門大学を目指すアメリカの高校生は最終学年であっても、勉強以外に
- 学校内で最高ランクのオーケストラのトップと幹事役を務める
- 楽器の腕前が落ちないよう、週1回は専門家の指導を仰ぐ
- スポーツではサッカー部に入っていて学校の代表選手
- 週末は語学学校通いや病院でのボランティアにいそしむ
など、いくつもの活動を同時並行しているとのこと。さらに『そのタスク一つひとつに「締め切り」や「競争」がある』と言います。
そして、そのような生活を送る中でこそ磨かれる「マルチタスク処理能力」、つまり「自己管理能力」を備えた受験生は、大学入試で高く評価されるそうです。

冷泉氏は書籍で『それは「保守的な優等生」が欲しいからではなく、マルチタスク処理能力=「自己管理能力」を、期待される人物像の中で極めて高い優先順位に決定しているからにほかなりません』と解説しています。
一方、学力試験での一発勝負の日本の入試は、完全なシングルタスク。日本とアメリカの大学入試では、求められているものが全く違うのです。
AI時代で「自己管理能力」の重要性が加速度的にアップするワケ

それではなぜ、アメリカの大学入試ではマルチタスクを処理できる「自己管理能力」を備えた人材が求められているのでしょうか。
前述した通り、アメリカの大学が社会に有為な人材を育てることに重きを置いていること、そしてビジネスの社会でもこの能力が非常に重要であることが、その背景にはあります。
AIがさまざまなタスクを処理するAI時代においても、冷泉氏は『そのような時代に生きていく人間は、「大枠だけを指示して、細かいことはAIに丸投げ」ということにはならないと思います』と予想しています。

例えば、英語圏の多くの経営者は、数階層下のレベルから、重要な社内メールは「CC」に入れさせて、決定に関与したり、進行中の案件の把握をしたりしているのだとか。
AI技術が進化し、メールの重要度の振り分けなどはAI任せにできる——。そんな時代でも、そうしたサポートが機能する限り『管理者の管理方法と管理の範囲は現在よりさらに拡大する』と冷泉氏は断言。
さらに『マルチタスク管理スキルというのは、21世紀においては、加速度的に重要になると見ておいたほうがよさそうです』と続けます。
18歳の時点でマルチタスク処理能力、つまり自己管理能力を厳しく問うこと、そしてそれに応えるための練習を早期に始めることは、AI時代で生き残れる人材になるためにも、大切なことなのです。
