拘縮を予防するには?原因や起こりやすい関節、自宅でできるケアを解説

拘縮を予防するには?原因や起こりやすい関節、自宅でできるケアを解説

拘縮が起こりやすい関節と部位

拘縮が起こりやすい関節と部位

拘縮は、長時間同じ姿勢が続きやすい関節や、もともとよく動く関節ほど起こりやすいとされています。具体的には、肩・肘・手指、股関節・膝・足首、首や腰まわりなどが代表的な部位です。

肩関節や肘関節|腕の動きへの影響

肩関節や肘関節に拘縮が生じると、腕を前や横に上げる、後ろに回すなどの基本的な動きが制限されてしまいます。その結果、髪をとかす、顔を洗う、服を着替える、棚の物を取るなど、日常的な動作が一人では行いにくくなります。

また、肘が伸びにくくなると、食事で口元までスプーンを運ぶ、テーブルに手をつく、車いすのブレーキを操作するなどの動きにも支障が出ます。このような状態が続くと、腕を動かす機会がさらに減り、筋力低下や痛みの悪化、姿勢の崩れなどを招き、生活の自立度や介護のしやすさにも大きく影響します。

手指|日常動作への影響

手指に拘縮が起こると、指が曲がったまま伸ばしにくくなったり、逆に伸びたまま曲げにくくなったりして、細かい動きが難しいです。指先で物をつまむ、ボタンを留める、チャックを上げる、箸やスプーンを持つ、ペンで字を書くなどの日常生活に欠かせない動作が大きく制限されてしまいます。

また、手のひらを十分に開けないと、手を洗う・清拭する・爪を切るなどの清潔ケアもしにくくなり、皮膚トラブルのリスクも高まります。

股関節や膝関節|歩行や立ち座りへの影響

股関節や膝関節に拘縮があると、脚を十分に曲げ伸ばしできなくなり、立ち上がる・椅子に座る・歩くなどの基本動作が大きく制限されます。

股関節が曲げにくい、あるいは伸ばしにくい状態が続くと、歩幅が小さくなり、ちょっとした段差や階段の昇り降りでもつまずきやすいです。膝が伸びきらない、または曲がりにくい場合は、膝をまっすぐ支えられず、立位バランスが不安定になり、転倒リスクも高まります。その結果、トイレや入浴・移動のたびに介助が必要になり、外出機会が減って生活範囲や社会参加の機会も狭まります。

足関節|歩行やバランスへの影響

足関節に拘縮が生じると、足首が下向き(尖足)の姿勢で固まりやすくなり、かかとから着地する動きが難しいです。その結果、つま先が床に引っかかりやすくなって歩行時につまずきやすくなり、歩幅が小さく、不安定な歩き方になって転倒のリスクも高まります。

また、足首の動きが硬くなることで、立位で身体の揺れを足関節で細かく調整する力(足関節戦略)が働きにくくなり、ちょっとした姿勢の変化でもバランスを崩しやすいです。

このように、足関節の拘縮は、歩きにくい、ふらつきやすいなどの状態を招き、外出の機会や活動範囲の縮小につながります。

参照:『脳卒中片麻痺患者の下肢関節における 拘縮の予防および改善の方法に関する一考察 *』(愛知県理学療法学会誌 第19巻 第4号 2008年4月)

自宅でできる拘縮予防のケア

自宅でできる拘縮予防のケア

無理のない範囲で関節をゆっくり動かす体操やストレッチ、こまめな体位変換、関節を冷やさないように保温が大切です。生活のなかで少しでも自分で動く機会を増やすことも予防につながります。

関節可動域を保つための運動

関節可動域を保つためには、毎日少しずつ関節を今より少しだけ大きく動かす運動を続けることが大切です。具体的には、肩なら腕を前後・左右にゆっくり回す、肘や膝なら曲げ伸ばしをゆっくり繰り返す、足首ならつま先を上下・円を描くように動かすなど、痛みが出ない範囲で関節を端から端まで動かす体操を行います。

自分で動かすことが難しい場合は、介護者が手足を持ってゆっくり曲げ伸ばしする関節可動域訓練(他動運動)も有効です。1回の動きは反動をつけず、呼吸を止めないようにしながら、毎日続けていくことが、拘縮予防につながります。

参照:
『なるほど、なっとく運動療法』(市川市医師会)
『終了後の 関節可動域訓練』(別府重度障害者センター)

負担を分散するポジショニング

ポジショニングは、身体の一部に体重が集中しないように支えを入れ、圧力や負担を全身に分散させることが大切です。枕やクッション、丸めたタオルなどを頭・背中・腰・膝の下・足首の下などに挟み、背中やお尻、かかとだけに力がかからないことで、関節や筋肉への負担を減らし、拘縮や褥瘡の予防につながります。

また、身体のゆがみが出ないように、左右のバランスや背骨のまっすぐさを意識しながら、安定してリラックスできる姿勢を整えることも重要です。ご家族だけで判断せず、必要に応じてリハビリ専門職や訪問看護師から、個々の状態に合ったポジショニング方法の助言を受けると安心感が高まります。

参照:
『褥瘡の予防について』(日本褥瘡学会)

日常ケアでの工夫

日常ケアのなかで拘縮を予防するには、特別な体操の時間だけでなく、普段の生活動作のなかでなるべく関節を動かす工夫を取り入れることが大切です。例えば、起き上がりや立ち座り、トイレや食事、更衣、洗顔・整髪などの場面で、できるところはご本人にお願いし、ラクをし過ぎない範囲で自分で手足を使ってもらうよう意識します。

ベッド上でも、テレビを見ながら肘や膝の曲げ伸ばし、足首回し、手指を開いたり握ったりする動きをこまめに行うと、関節可動域の維持に役立ちます。

また、入浴や手浴・足浴で身体を温めた後に、拘縮しやすい関節をゆっくり動かしたり、清拭や保湿を兼ねて手足を優しくマッサージしたりなども、血行促進とリラックスにつながり、家庭で続けやすい予防のケアです。

配信元: Medical DOC

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