拘縮予防を続けるためのポイント

完璧を目指しすぎず少しでも毎日続けることが大切です。無理のない回数と時間から始め、負担が少ない姿勢や時間帯を選び、ご本人と介護者が一緒に取り組み方を確認しながら、できたことを肯定的に共有していくことで、継続しやすいです。
無理な力を加えないための注意点
拘縮予防のケアでは、強く伸ばすほどよいと考えて無理な力を加えないことがとても大切です。関節を動かすときは、まず表情や声かけで痛みの有無をこまめに確認し、痛気持ちいい程度より強い痛みが出たら、そこで止めるか少し手前の角度まで戻します。
また、反動をつけて一気に大きく曲げ伸ばししたり、介護者が体重をかけてぐいっと押し込んだりすると、筋肉や靱帯を傷めたり、痛みでその後ますます身体をこわばらせてしまう原因です。動かすときは、呼吸を止めずにゆっくりと、片手で関節を支え、もう片方の手で末梢側を持って滑らかに動かすイメージで行うと安全性が高まります。
少しでも不安がある場合は、医師やリハビリ専門職に動かしてよい範囲を確認してから実践します。
日々の変化を観察するポイント
拘縮予防のケアは、どのような変化が出てきているかの日々観察がとても大切です。まず、以前より関節の曲げ伸ばしがしにくくなっていないか、袖を通しづらい・靴下を履かせにくいなど、ケアのなかで感じるちょっとのやりにくさに注意します。
また、動かしたときの表情や「痛い」「つっぱる」などの訴え、触ったときの冷えやむくみ、左右差の有無も大事なサインです。手足の位置がいつも同じ方向に偏っていないか、手指が握りっぱなしになっていないか、座位や寝姿勢で身体が傾いていないかなど、写真やメモで定期的に記録しておくと、小さな変化にも気付きやすくなり、早めの相談や対応につなげやすいです。
訪問看護やリハビリサービスの活用
訪問看護やリハビリサービスの活用で、自宅でも専門職の視点から拘縮予防やケアの方法を確認できます。理学療法士や作業療法士が実際の生活環境を見ながら、関節可動域を保つための体操やポジショニング、移乗・歩行・更衣などの日常動作の練習を一緒に行い、ご本人の状態に合った負担の少ないやり方を提案してくれます。
また、訪問看護師は皮膚の状態や痛み、全身状態を観察しつつ、手足のむくみや冷え、褥瘡リスクなども含めてトータルに支援してくれるため、「どこまで動かしてよいか不安」「ケアのやり方が合っているか心配」などの疑問をその場で相談できます。
参照:『訪問リハビリテーションにおける日常生活動作の支援として効果的な運動療法』(第38回日本理学療法学術大会抄録集)
まとめ

拘縮は、長期間同じ姿勢が続くことや麻痺・痛みなどにより関節を動かさない状態が積み重なることで起こりやすいです。特に肩・肘・手指・股関節・膝・足首は要注意です。自宅では、無理のない関節運動やこまめな体位変換、痛みを避けたポジショニングを続けることが予防につながります。訪問看護やリハビリも上手に活用しながら、日々の小さな変化を見逃さずケアしていくことが大切です。
参考文献
『拘縮の病態とメカニズム』(日本ペインリハビリテーション学会)
『脳卒中片麻痺患者の下肢関節における 拘縮の予防および改善の方法に関する一考察』(愛知県理学療法学会誌 第19巻 第4号 2008年4月)
『なるほど、なっとく運動療法』(市川市医師会)
『終了後の関節可動域訓練』(別府重度障害者センター)
『褥瘡の予防について』(日本褥瘡学会)
『訪問リハビリテーションにおける日常生活動作の支援として効果的な運動療法』(第38回日本理学療法学術大会抄録集)

