重症筋無力症の診断と治療

重症筋無力症の疑いがある場合、専門の医療機関でさまざまな検査を受けて確定診断が行われます。診断が確定した後は、患者さんの状態に合わせた治療方針が決定されます。
重症筋無力症|診断までの流れ
主に脳神経内科を受診して専門的な検査を受けます。まず、医師による神経学的診察が行われ、疲れやすさや筋力低下、夕方に症状が悪化する日内変動といった特有の症状があるかを詳しく確認します。
続いて血液検査を行い、原因となる自己抗体の有無を調べます。患者さんの約85%でアセチルコリン受容体抗体が陽性となり、数%で筋特異的受容体型チロシンキナーゼ抗体という別の抗体が陽性となります。
抗体の検査と並行して、電気生理学的検査が行われます。神経に微弱な電気刺激を反復して与え、筋肉の反応が徐々に弱まるかを確認する低頻度反復刺激誘発筋電図や、筋線維の電位を記録する単線維筋電図などの検査により、神経と筋肉の伝達異常を客観的に証明します。
また、塩化エドロホニウムという特別な薬剤を注射し、筋力低下が一時的に劇的に改善するかを確認するエドロホニウム試験も診断の重要な手がかりとなります。さらに、胸腺に異常がないかを確認するため、胸部CTなどの画像検査も必ず行われます。
重症筋無力症の治療法
症状を和らげる対症療法のほか、ステロイドや最新の分子標的薬による免疫療法、胸腺を摘出する手術などが行われます。
重症筋無力症の治療は、症状をしっかりと抑え込み、健常な方と同等の生活の質を保つことを目標に行われます。現在の医療ガイドラインでは、経口ステロイド剤を極めて少ない量に抑えたうえで、症状がごく軽微な状態を維持することが推奨されています。
主な治療法は以下のとおりです。
対症療法
免疫療法
外科的療法
治療方針は一人ひとり異なるため、専門の医師としっかりと相談しながらご自身に合った治療法を見つけていくことが大切です。
重症筋無力症の症状についてよくある質問
ここまで重症筋無力症の症状を紹介しました。ここでは「重症筋無力症の症状」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
重症筋無力症はなぜ重症と呼ぶのですか?
高宮 新之介 医師
この病気は17世紀のヨーロッパですでに存在が知られていましたが、当時は病気の原因がわかっておらず、有効な治療法が存在しませんでした。そのため、病状が進行して呼吸筋が麻痺するクリーゼに陥ると、そのまま致命的な結果を招くケースが大変多かったという歴史があります。呼吸不全という転帰をたどる危険な病気だったため重症という言葉が名前に付けられました。重症筋無力症の症状は治療することで改善しますか?
高宮 新之介 医師
適切な治療を継続することで、多くの方が日常生活に支障のないレベルまで症状を改善できます。医療技術や新しい治療薬の飛躍的な進歩により、重症筋無力症の治療成績は目覚ましく向上しています。薬を適切に使うことで、低下した筋力はしっかりと回復させることが可能です。実際に、患者さんの約半数は仕事や家事などの日常生活にほとんど支障のないレベルまで回復し、健常な方と変わらない生活を送っています。完全に治療が不要になる方は全体の約6%に留まりますが、少ない薬の量で良好な状態を維持できる方が大半を占めています。

