「脳卒中の初期症状」として疑われる「手のしびれ」の特徴はご存知ですか?【医師解説】

「脳卒中の初期症状」として疑われる「手のしびれ」の特徴はご存知ですか?【医師解説】

「片手のしびれ」「両手のしびれ」どっちが脳卒中の初期症状として疑われる?メディカルドック監修医が脳卒中の初期症状やしびれの原因も解説します。

村上 友太

監修医師:
村上 友太(医師)

【経歴】
医師、医学博士。
福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長、東京予防クリニック院長を歴任。現在は神宮前統合医療クリニックなどで脳機能向上、認知症予防を中心に診療している。
【資格・所属】
日本脳神経外科学会専門医
日本脳卒中学会専門医
日本抗加齢医学会専門医
日本健康経営専門医

脳卒中とは?

脳卒中とは?

脳卒中とは、脳の血管が突然詰まったり、破れたりすることで、脳の細胞に血液が届かなくなり、脳の機能が失われてしまう病気の総称です。
「卒」は突然、「中」はあたる(おそわれる)という意味を持ち、文字通り「突然、脳の病気におそわれる」状態を指します。
脳卒中は、大きく分けると以下の3つに分類されます。
・脳梗塞:脳の血管が詰まり、酸素や栄養が途絶えて脳細胞が死んでしまう病気です。脳卒中全体の約7割近くを占めます。
・脳出血:脳の中を通る細い血管が破れ、脳の中で出血が起こる病気です。
・くも膜下出血:脳の表面を覆う「くも膜」という膜の内側にある血管(主に脳動脈瘤という血管のこぶ)が破れ、脳の周りに血液が広がる病気です。
いずれのタイプであっても、脳の細胞がダメージを受けると、その細胞が担当していた体の機能(運動、感覚、言語など)が失われ、麻痺やしびれ、言葉の障害といった神経症状が突然現れます。脳卒中は命に関わるだけでなく、命が助かっても重い後遺症が残ることがあるため、初期に現れる症状をいち早く見つけて適切な治療を行うことが重要です。

脳卒中を発症すると手にしびれが現れる原因

脳卒中を発症すると手にしびれが現れる原因

脳卒中によって手にしびれが起こる背景には、脳の「感覚を司るネットワーク(感覚神経伝導路)」の障害があります。脳のどの部分がダメージを受けたかによって、しびれの原因やメカニズムが異なります。

感覚の中継拠点である「視床」の障害

脳の深部にある「視床」は、全身の皮膚や筋肉から送られてくる「痛い」「冷たい」「しびれる」といったすべての感覚情報を集めて、脳の表面(大脳皮質)に中継する重要な役割を担っています。この視床に脳梗塞や脳出血が起こると、感覚のスイッチボードが破壊された状態になり、反対側の手や足に強いしびれや感覚異常が生じます。これを「視床出血」や「視床梗塞」と呼び、脳卒中によるしびれの代表的な原因です。

大脳皮質(体性感覚野)の障害

視床から送られてきた感覚情報を、最終的に「手のしびれ」として認識するのは、脳の表面にある「大脳皮質の体性感覚野(たいせいかんかくや)」という部分です。特に、手の感覚を担当する領域の脳血管が詰まったり破れたりすると、そこに対応する手の部分だけにピンポイントでしびれや感覚の鈍さが現れます。

内包付近の障害

脳の運動神経や感覚神経の線維が、束になって通る狭い通路を「内包(ないほう)」と呼びます。このエリアは非常に細い血管(穿通枝:せんつうし)で栄養されているため、高血圧などが原因で血管が詰まる「ラクナ梗塞」が多発しやすい場所です。内包のすぐ近くを通る感覚神経の通り道がダメージを受けると、手の指先から腕にかけてじわじわとしたしびれが現れることがあります。

脳内の感覚を伝える神経の通り道である「感覚伝導路」の遮断

手先や足先で感知した感覚情報は、末梢神経から脊髄を通り、脳幹(呼吸などを司る脳の根元部分)を経由して視床へと上っていきます。この神経の通り道を「感覚伝導路」と呼びます。脳幹や内包(運動神経や感覚神経が密集して通る狭い領域)などで脳卒中が発生すると、この伝導路が直接遮られます。伝導路が障害されると、末梢からの感覚信号が完全にブロックされるため、脳の感覚野が正常であっても、手足に強いしびれや麻痺を感じることになります。

脳幹の障害

脳の一番奥にあり、脊髄へとつながる脳幹(中脳・橋・延髄)は、生命維持のほか、全身へつながる神経が過密に行き交う場所です。脳幹で脳卒中が起きると、手のしびれだけでなく、顔の感覚障害や、物が見えにくくなる(複視)、めまいといった、脳幹特有の複雑な症状が同時に現れることが多くなります。

一過性脳虚血発作

一過性脳虚血発作(TIA:Transient Ischemic Attack)とは、脳の血管が一時的に詰まりかけるものの、完全に詰まる前に血流が再開し、症状が数分から24時間以内(多くは1時間以内)に完全に消えてしまう現象です。「完全に治ったから大丈夫」と放置してしまいがちですが、TIAは本格的な脳梗塞が起こる前兆症状として知られており、数日以内に大きな脳梗塞を起こすリスクが非常に高いため、すぐに病院を受診する必要があります。

配信元: Medical DOC

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