急性大動脈解離は、大動脈の壁が突然裂ける重篤な病気です。発症後は時間の経過とともに状態が悪化することがあり、特にStanford A型では早急な診断と治療が重要です。この記事では、急性大動脈解離の生存率、発症から治療までの時間との関係、生存率を左右する要因、治療後の注意点を解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
急性大動脈解離の生存率

急性大動脈解離の生存率は、Stanford A型かB型か、治療の有無、合併症の有無によって大きく異なります。ここでは、急性大動脈解離の生存率を解説します。
急性大動脈解離とは
急性大動脈解離とは、大動脈の壁が突然裂け、血液が血管の壁の中へ入り込む病気です。発症から2週間以内のものを急性期と呼びます。
大動脈解離は、解離が起こる場所によって大きく経過が異なります。上行大動脈に及ぶものはStanford A型、上行大動脈に及ばないものはStanford B型に分類されます。特にA型は心臓に近い場所で起こるため、心タンポナーデ、大動脈破裂、心筋虚血、脳梗塞などを起こしやすく、緊急手術が必要になることが多い病型です。
急性大動脈解離の予後
急性大動脈解離の予後は、病型、治療開始までの時間、合併症の有無によって大きく変わります。特にStanford A型では進行が速く、心タンポナーデ、大動脈破裂、心筋虚血、脳梗塞など、命に関わる合併症を起こすことがあります。
一方で、早く診断され、適切な手術やカテーテル治療、薬物療法につながることで救命できる可能性があります。急性大動脈解離では、「痛みが少し落ち着いたから大丈夫」と判断せず、疑わしい症状があれば早く救急につなげることが大切です。
急性大動脈解離の生存率
急性大動脈解離の生存率は、Stanford A型かB型か、治療を受けられたか、合併症があるかによって大きく異なります。
Stanford A型は、治療を受けない場合の予後は大変厳しく、発症後48時間以内に50%以上が死亡するとされています。手術を行わない場合は時間とともに死亡リスクが高くなるため、診断後は速やかな治療が重要です。
Stanford B型は、破裂や臓器虚血などの合併症がない場合、薬物療法を中心に管理されることがあります。ただし、合併症を伴う場合はカテーテル治療や手術が必要になることがあり、生存率はその状態によって変わります。
急性大動脈解離の発症からの時間と生存率の関係

急性大動脈解離は、発症から診断・治療までの時間が予後に大きく関わります。特にStanford A型では進行が速く、治療されない場合、発症後1時間ごとに死亡率が約1〜2%上昇すると報告されています。
そのため、突然の激しい胸痛や背部痛がある場合は、痛みが軽くなっても様子をみないことが大切です。早く救急につながり、造影CTなどで診断を受け、必要な治療へ進むことが生存率を左右します。

