「腎臓の数値が悪いと言われたけど、これからどれくらい費用がかかるのだろうか」「将来、透析が必要になったら家計はどうなるのか」といった不安を感じている方は少なくないのではないでしょうか。
慢性腎臓病(CKD)は成人の約8人に1人が罹患しているとされ、長期にわたることが多い疾患です。ステージが進むにつれて治療費も増加するため、月々どれくらいの費用がかかるのかを早めに知っておくことは、治療を続けていくうえでも、家計管理のうえでもとても重要です。この記事では、CKDのステージ別通院費用の目安、透析が必要になった場合の費用、そして費用を大幅に抑えられる公的制度について解説します。

監修医師:
佐々木 健也(医師)
高知医科大学医学部(現・高知大学医学部)卒業。消化器内科医として10年以上にわたり、大学病院や基幹病院で肝胆膵領域の専門診療に従事。ウイルス性肝炎、MASH(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)、肝細胞がんを中心に、最新のガイドラインに基づく標準治療から地域医療における患者マネジメント、病診連携まで幅広く携わる。アルコール依存症診療にも豊富な経験を有し、精神科領域への出向経験を生かして、物質依存症や行動依存症に対する医学的助言も行う。近年は父親としての育児経験を契機に、小児の成長・発達、児童心理、発達障害、児童精神医学にも関心を広げ、看護師や公認心理師など多職種と連携した研究プロジェクトの準備を進めている。日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会専門医。
慢性腎臓病(CKD)のステージ分類と通院の基本
慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう)は、腎臓の働きが3か月以上にわたって低下している状態のことです。腎臓の働きを示す指標として「eGFR(推算糸球体濾過量:すいさんしきゅうたいろかりょう)」があります。eGFRとは、腎臓が1分間にどれだけの血液をきれいにできるかを示す数値で、健康な成人では90以上が目安です。この値と尿検査の結果によって、CKDはG1からG5の5段階に分類されます。
以下の表で、ステージごとのeGFR値と腎臓の状態の目安を確認できます。
■ G1・eGFR(mL/分/1.73m²):90以上
・状態:腎機能は正常だが、尿や画像検査で異常あり
■ G2
・eGFR(mL/分/1.73m²):60〜89
・状態:軽度低下
■ G3a
・eGFR(mL/分/1.73m²):45〜59
・状態:中等度低下
■ G3b
・eGFR(mL/分/1.73m²):30〜44
・状態:中等度〜高度低下
■ G4
・eGFR(mL/分/1.73m²):15〜29
・状態:高度低下
■ G5
・eGFR(mL/分/1.73m²):15未満
・状態:腎不全(透析・移植の準備が必要)
CKDの治療の目標は、腎機能の低下スピードを遅らせ、透析をできるだけ回避することです。そのために定期的な通院・血液検査・血圧管理・薬物療法が必要となります。通院頻度はステージによって異なり、G1〜G2では半年〜1年に1回程度、G3以降では1〜3か月ごとが目安となります。
ステージG1〜G3の通院費用の目安
CKDの診断を受けてから安定した状態を保てている初期〜中等度のステージでは、主にかかりつけ医やクリニックでの定期通院が中心となります。以下は3割負担を前提とした、月あたりの費用の目安です。なお、医療機関によって費用は異なるため、あくまで参考値としてご覧ください。
■ 再診料(毎月受診の場合)・目安金額(月):約400〜450円
■ 血液検査(腎機能・電解質など)
・目安金額(月):約1,000〜2,000円
■ 尿検査
・目安金額(月):約250〜1,000円
■ 降圧薬・腎保護薬など
・目安金額(月):約500〜4,000円
■ 合計(目安)
・目安金額(月):約2,500〜8,000円
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
G1〜G2のステージは自覚症状がほとんどなく、3〜6か月に1回の通院で済む場合もあります。G3に進むと通院頻度が上がり、薬の種類も増えるため、月の費用が10,000円前後になることも少なくありません。また、高血圧や糖尿病などCKDの原因となる疾患の治療費が別途かかる場合もあります。

