「不整脈と診断されたけれど、毎月の治療費がどれくらいかかるのだろう」「薬を長く飲み続けることになったら、家計への負担が心配だ」といった不安を感じている方は少なくないのではないでしょうか。
不整脈、とくに心房細動(しんぼうさいどう)は一度診断されると長期にわたることが多いため、月々どれくらいの費用がかかるのかを早めに知っておくことは、治療を続けていくうえでも、家計管理のうえでもとても重要です。
この記事では、不整脈の外来・安定期における薬物療法の費用と、利用できる公的制度について解説します。

監修医師:
佐々木 健也(医師)
高知医科大学医学部(現・高知大学医学部)卒業。消化器内科医として10年以上にわたり、大学病院や基幹病院で肝胆膵領域の専門診療に従事。ウイルス性肝炎、MASH(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)、肝細胞がんを中心に、最新のガイドラインに基づく標準治療から地域医療における患者マネジメント、病診連携まで幅広く携わる。アルコール依存症診療にも豊富な経験を有し、精神科領域への出向経験を生かして、物質依存症や行動依存症に対する医学的助言も行う。近年は父親としての育児経験を契機に、小児の成長・発達、児童心理、発達障害、児童精神医学にも関心を広げ、看護師や公認心理師など多職種と連携した研究プロジェクトの準備を進めている。日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会専門医。
不整脈と診断されたときの初期費用
不整脈の疑いがあって受診すると、まず心電図検査や血液検査などを通じて診断が確定されます。初診時にかかる費用の目安は、健康保険の3割負担でおよそ7,000〜10,000円程度です。
■ 初診料・費用の目安(3割負担):約870円
■ 12誘導心電図
・費用の目安(3割負担):約400円
■ ホルター心電図(24時間心電図)
・費用の目安(3割負担):約5,200円
■ 心臓超音波検査(心エコー)
・費用の目安(3割負担):約1,500~5,000円
■ 血液検査(凝固能・甲状腺機能など)
・費用の目安(3割負担):約1,000〜2,500円
■ 胸部X線検査
・費用の目安(3割負担):約300円
■ 合計目安
・費用の目安(3割負担):約2,500〜10,000円
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
ホルター心電図(ほるたーしんでんず)とは、携帯型の記録装置を24時間装着したまま日常生活を送り、その間の心電図を記録する検査です。通常の心電図では捉えにくい発作性の不整脈を確認するために用いられます。たとえるなら、通常の心電図が「一瞬の写真」であるのに対し、ホルター心電図は「一日中録り続けた動画」のようなものです。
心臓超音波検査(しんぞうちょうおんぱけんさ)は、心臓の形や動きをリアルタイムに確認する検査で、心房細動の背景にある弁膜症や心筋症などの異常がないかを調べるために行われます。
安定期の外来通院にかかる月額費用
不整脈と診断されて薬物療法が始まると、定期的な外来通院が必要になります。安定期には月1回程度の通院が一般的で、通院そのものにかかる費用は3割負担でおよそ600円程度です。
■ 再診料・費用の目安(3割負担):約230円
■ 外来管理加算
・費用の目安(3割負担):約160円
■ 処方箋料
・費用の目安(3割負担):約200円
■ 合計(通院費のみ)
・費用の目安(3割負担):約600円程度
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
実際の月額負担は、薬代が加わることで大きく変わります。後述する薬の種類によっては、月の合計が5,000〜10,000円以上になることもあります。通院費だけを見て「思ったより安い」と感じる方も多いですが、薬代も含めた総額を把握しておくことが重要です。

