「道産子」たちが切り拓く農地・山の未来
盤渓の実験農場では、最初の2年間、この深い笹藪に馬を放牧しました。道産子は笹を好んで食べてくれるため、彼らが山に入ることで笹が減り、地面に日光が差し込むようになります。すると、新しい植物の成長がぐんと促されるのです。
動物たちがもたらす恩恵はそれだけではありません。
牛や馬が植物を踏み倒すことで、新しい光の通り道ができ、雨水もしっかり土に染み込むようになります。排泄される糞尿が、そのまま豊かな肥料となります。
動物たちが動き回ることで、土への栄養素の入り込み方が何倍にも活性化されます。
これらの経過を、北海道大学とタッグを組み、共同研究として土壌や植物の調査・測定をしながら開拓をすすめています。

そして、馬たちが綺麗にしてくれたその地面に、今度は牧草の種を蒔く――。
重機を一切使わず、馬の習性を生かして少しずつ開墾し、農地を広げていく。
そもそも、新しく農業を始めようとする人(新規就農者)や、家族経営の小さな農場にとって、高額な重機を購入したりレンタルしたりすることは、金銭的な負担が大きすぎて、到底無理な話です。長沼会長はそうした現状を指摘します。
「平地の条件が良い場所は、もう大きな農場などが経営している。新規の人が得られる土地は、荒地や条件の悪い土地が多い。それでも、重機を使わずにできる農業の形をみせたくて、ロールモデルになりたいと思って挑戦している。」
長沼会長のその言葉に、日本の農業の未来を切り拓こうとする本気の優しさを感じました。
馬が開墾し、種を蒔き、大規模ではなく、家族で経営できる持続可能な農業を促進したい。今年で5年目を迎えるこの盤渓ファームでの挑戦。新規就農を目指す人たちへの希望の光です。

「牛たちが嬉しそう!」長沼会長の後をトコトコ、ジャージー牛
馬たちが作ってくれた牧草地に案内されると、さらに素敵な光景に出会いました。
私たちが牧草地へ足を踏み入れると、放牧されているジャージー牛たちが、長沼会長の姿を見つけた瞬間、耳をピコピコと動かして、なんとも嬉しそうに集まってきたのです!
驚いたのはそれだけではありません。長沼会長が歩き出すと、牛たちがトコトコと後ろをついてきて離れないのです。
「牛たちが嬉しそう」
まさにこの表現がぴったりな、ほっこりする光景でした。
狭い牛舎に閉じ込められることなく、盤渓の豊かな自然の中で、ストレスフリーに暮らしている牛たち。のびのびと、本当に幸せそうに過ごしているこのジャージー牛たちから搾乳される生乳は、絶対に、間違いなく美味しいはずです!このお乳から作られるお菓子や乳製品を想像するだけで、期待に胸が膨らみます。


