ビーサイズ 代表 八木啓太さん

大阪大学大学院修了。電子工学を専攻し、富士フイルムにて医療機器の機械設計に従事。2011年にビーサイズを設立。ミッションは「デザインとテクノロジーで社会の課題を解決しよう」。同年、世界で最も自然光に近いLEDデスクライト「STROKE」をリリース。「ひとり家電メーカー」として話題になり、多くのメディアに取り上げられる。近年はアメリカ市場にも参入。小学生2人の子どもを持つ父親でもある。
きっかけは子どもの誕生「1〜2年費やした試作機は、安心に至れず限界が見えた」
ーー今年3月、御社の子ども見守りGPS「BoTトーク」の販売台数が例年の3倍になったそうですね。
ビーサイズ 八木啓太代表(以下、八木) 新学期が始まるタイミングということもあり販売台数がぐっと伸びまして。一時的に去年の3倍くらいになりました。
ーー現在さまざまな会社が見守りGPSをリリースしていますが、そんななかで「BoTトーク」が選ばれるのは、どんな理由があると思いますか?

八木 「BoTトーク」は口コミが強く、使っているパパ・ママたちが「BoTトーク、いいよ」と広げてくださっているんです。おそらく、「新学期だけどどうしよう」というタイミングでパパ・ママが口コミで広げてくれたのが大きなきっかけかなと思います。
ーー思わず誰かに勧めたくなるというところに、ユーザー満足度の高さがうかがえます。そんな「BoTトーク」が誕生したきっかけについてお聞きしたいです。
八木 弊社は元々、家電のスタートアップとして創業しました。世界で最も自然光に近いLEDデスクライトや、杉間伐材を加熱圧縮して量産化したワイヤレス充電器など、デザインや性能にすごく特徴があるものを作っていたんです。いよいよ3つめに何を作ろうかな、というタイミングで、私事なんですが子どもが生まれまして。

八木 我が子が成長していく過程を想像したときに、自分が子どもだったころは野原を駆け回ったり、地球を冒険することができた一方で、いまはどうだろうと考えました。子どもが巻き込まれる事件が際立ち、手放しに送り出せる時代でもなくなってきたのではないかと思ったんです。
そこで、子どもに冒険してもらうためにも、安心を担保できるものが必要なのではないかと考え、「子どもの見守りを託すことができるAIロボットがあれば」という想像をしたんです。子どもに付き添ってくれて、一緒に冒険もしてくれて、もしも子どもになにかあれば報告してくれる、というコンセプトがまずは生まれました。
ーーいまお子さまは小学校高学年だそうですが、生まれたときからそういったコンセプトを考えていたんですね。初期はどのような状態でしたか?
八木 「AI見守りロボット」というコンセプトを実現するうえで、まず2つの技術が重要だと思いました。それが、位置を特定する「測位技術」と、特定した位置を離れた場所にいる保護者にお届けする「通信技術」。この2つが基本技術になるかなと思い、いろいろ開発して最初にできたのがこちらです。これらはすべてボツになってしまいました。

ボツにした3台を示す八木代表。ここまでで「1〜2年費やした」という
ーーボツになったのはなぜでしょう?
八木 このころは、いまとは違う測位技術と通信技術を採用していました。それはそれで可能ではあったんですが、いざ我が子やモニターの方に持ってもらうと、位置の特定が途絶えてしまったりして。「これでは安心できないね」ということで、1〜2年かけて開発しましたが、バッサリと開発を中止しました。
ーー位置が途絶えるというのは、通信が圏外になってしまうということですか?
八木 そうですね。また、GPSは空が見える場所ならGPS衛星から電波が届くので位置が特定できる一方、屋内は空が見えないので位置が特定できないんです。そういうとき我々は別のエンジンを使って特定しますが、GPSだけのものだとやはり位置特定ができないんですよ。

八木 ほかにも、いろいろな方式を試しましたが、どれも安心に至ることができませんでした。この方式だと何代重ねても安心には至れないという限界が見えてしまったんです。
