「風、薫る」第65回(6月27日放送)振り返り
この日の放送では、看護婦を目指して努力を続けてきたツヤに大きな試練が訪れた。りんや直美が指導者としての難しさに直面するなか、ツヤは医療ミスの責任を問われて病院を去ることに。シマケンはりんに完成した小説を読んでもらい、小川と直美の関係にも変化の兆しが見えた。
【以下ネタバレ】
ある日、りんは娘の環(英梨)を連れて団子屋を訪れ、シマケンと再会する。りんは直美に頼まれて団子を買いに来たという。「いい人だ…」。シマケンは直美の優しさに感謝し、りんのおかげで迷いが吹っ切れて新しい短編小説を書き上げることができたと伝えた。タイトルは「浮世の翼」で、最初に読んでほしいと原稿を手渡されたりんは最後まで真剣に読み、「面白かったです」と率直な感想を伝えるが、シマケンは物足りなさそうな表情を浮かべた。恋心を抱く相手だけに、もっと違う反応を期待していたようだ。それでもりんは、小説を書き上げた才能を素直に称賛した。
教場では、りんと直美が見習生たちの愚痴を耳にし、自分たちの指導力不足に悩む。直美は病室で患者の世話をしていた際、小川から声をかけられる。小川は看護婦という仕事があることを知らず、以前の無礼を詫びた。そして看護婦取締として患者のために医師へ意見する直美の姿勢を絶賛。かつて勘太(藤原季節)に騙され、軍人に複雑な思いを抱いていた直美だったが、「優しい上官」と表現した小川のほめ言葉に思わず笑みをこぼす。
しかしその後、外科で思わぬ事態が起きる。ツヤが術後患者への解熱薬投与の指示を失念し、患者が高熱を出してしまった。責任を感じたりんは、自分の指導不足だとして教授の今井益男(古川雄大)に責任を負う覚悟を示す。ところが多田は、りんとツヤを呼び出し、ツヤの解雇を通告した。りんが撤回を求めても決定は覆らず、ツヤは静かに受け入れる。多田は看病婦を減らし、知識と技術を備えた看護婦中心の体制へ移行する方針を説明。直美は、貧しい看病婦たちが働きながら学ぶ厳しい現実を訴えるものの、その原因は貧困で、貧困をなくすのには社会の仕組みを変えるしかなく、それは大学病院の仕事ではないと述べた。
りんと直美は、自分たちが力になれなかったことを涙ながらにツヤへ謝罪。しかしツヤは勉強を続けて看護婦になると前を向いた。りんは、恩師バーンズ(エマ・ハワード)が残した「NOTES ON NURSING」の原書を託し、ツヤの新たな一歩を後押しした。
努力だけでは乗り越えられない現実の厳しさと、それでも夢を諦めない強さが描かれた第13週。ツヤの挫折は、看護制度の変化のなかで取り残される人々の苦しさを浮き彫りにすると同時に、りんと直美が指導者として成長していくための大きな転機にもなった。
朝ドラ「風、薫る」とは?
大関和と鈴木雅という実在した2人のトレインドナース(正規に訓練された看護師)をモチーフにした朝ドラ。激動の明治時代、まったく違う境遇に生まれ、それぞれ生きづらさを感じていた2人の女性が、未開の看護の道を切り開いていく姿を描く。「あなたのことはそれほど」「病室で念仏を唱えないでください」「くるり~誰が私と恋をした?~」などの連ドラで知られる吉澤智子さんが脚本を書き、Mrs. GREEN APPLEが主題歌「風と町」を歌う。

