より多様に、開かれた場所へ 「喫茶店」の変化

より多様に、開かれた場所へ 「喫茶店」の変化

世代や国籍を超えて
「喫茶店」はみんなのものに





家や学校、職場でもない、別の居場所。私は学生時代から昭和の影響を色濃く残すものに夢中になり、当時の文化遺産でもある純喫茶の空間を、日替わりの自分の部屋として楽しむようになりました。まさに、サード・プレイスなんです。

喫茶店は店主の方の情熱が爆発している宝箱のようなもの。全国に約6万、東京には約6000の喫茶店があると言われています。東京は街並みやお店の移り変わりのスピードが速い地域です。建物の老朽化や再開発による立ち退き、家賃の高騰の問題もあり、やむを得ず閉店する喫茶店も多くありました。今も残る老舗は、時代に応じて変化する努力を続けてきた名喫茶ばかりです。

喫茶店の歴史に大きな影響を与えたのが、スマートフォンの登場。昭和の時代によく見られた、店内に設置された電話を使って待ち合わせをするシーンは、スマートフォンの普及によりほぼ見られなくなりました。

また、2020年の東京オリンピックを機にした法改正により、喫煙可能なお店も減りました。このように、喫茶店の歴史は社会情勢と密接に連係しています。そのニーズに柔軟に対応しつつお店の伝統を守ることが、今後の課題かもしれません。

純喫茶は数年前から若い世代の間でもブームです。彼らは昭和時代の喫茶店の姿を知らず、懐かしいという気持ちはありません。新しく素敵な場所と文化に出会う感覚です。





今、喫茶店という空間には、大きく分けて、昭和から通う世代、小さい頃に見聞きし懐かしさを感じる世代、喫茶店自体に初めて訪れる若い世代、と3世代のお客さんが同時に来店しています。さらに、外国人観光客からも大人気。先日、浅草の駅から離れた喫茶店で、外国人グループが開店待ちをしていて驚きました。スマホで写真撮影も手軽になり、SNSの普及で情報の伝達もスムーズになり、世界中から喫茶店の情報にアクセスしやすくなったことが理由でしょう。現在、東京の喫茶店は年齢、性別、国籍問わず、コーヒー1杯で自分の時間が過ごせる、よりフラットな場所になっています。

最近は2代目、3代目と、次の代に引き継がれる喫茶店も増えています。なかには、お子さんや親族など身近にいらした方が、純喫茶ブームをきっかけに先代の仕事の素晴らしさを再確認し、ほかの仕事を辞めて家業に戻るケースも。一方で血縁がない従業員や常連客、外部の飲食店関係者が引き継いだ店が増えたのも興味深いです。そのほか、さまざまな名店で働いてエッセンスを吸収した店主による「喫茶閃光」のような新しいタイプも登場しています。

当時は一面からとらえられていた喫茶店という文化に、若い世代や海外からの観光客をはじめ、多様な人たちがさまざまな角度から光を当て、それぞれに新しい魅力を発見している時代です。そんな追い風の中で、店主の方々にはお体に気を付けて、できるだけ長く続けてほしいですね。今の人気が、今後も喫茶店が残り続けるための力になるはずです。



店の歴史と喫茶文化を遺す人



配信元: OZmall

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