治療を続けることの重要性―放置・中断のリスク
チラーヂンSは服用しても症状の改善を実感しにくい場合があり、「調子が良くなったから」「副作用が心配だから」とご自身の判断で服薬を中断してしまう方がいます。しかし、治療を中断すると甲状腺ホルモンが不足した状態に戻り、合併症のリスクが高まります。
なかでも注意が必要なのが脂質異常症(ししついじょうしょう)から進行する動脈硬化です。甲状腺機能が低下すると代謝が落ち、血液中のコレステロールや中性脂肪が異常に高くなりやすくなります。放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳卒中(のうそっちゅう)のリスクが高まります。
以下に、治療を怠った場合に起こりうる主な合併症と医療費の目安をまとめます。
■ 脂質異常症・主な症状・リスク:高コレステロール血症、動脈硬化の進行
・治療費の目安(月額・3割負担):約1,500〜2,500円
■ 心不全・虚血性心疾患
・主な症状・リスク:息切れ、むくみ、胸痛。入院が必要になる場合も
・治療費の目安(月額・3割負担):約2,500~4,000円(入院時は十数万円規模)
■ うつ病・抑うつ状態
・主な症状・リスク:気力の低下、不眠、集中力の低下
・治療費の目安(月額・3割負担):約1,500~3,000円
■ 粘液水腫(ねんえきすいしゅ)
・主な症状・リスク:重度の機能低下。命に関わることがある
・治療費の目安(月額・3割負担):約1,500〜2,100円(入院時は十数万円規模)
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
合併症の治療費は月数千円〜十数万円規模となり、甲状腺機能低下症を適切に治療するよりもはるかに高額になります。「症状がないから大丈夫」という判断は禁物です。
編集部まとめ
甲状腺機能低下症の治療費は、安定している期間は2〜3ヶ月に1回の受診で2,000〜4,000円程度かかり、長期にわたって継続することが大切になります。以下のポイントを押さえておきましょう。
診断後の投薬調整期は月1〜2回の通院が必要で、費用は受診1回につき3,000〜6,500円程度が目安
安定期は2〜3ヶ月に1回の通院になり、1回の受診で2,000〜4,000円に落ち着くことが多い
医療費控除(年10万円超)を積極的に活用したい。高額療養費制度は外来のみでは通常該当しないが、入院時に備えて制度を把握しておくと安心
費用面の不安は、医療ソーシャルワーカーへの相談で解決できることが多い
甲状腺機能低下症と診断されたら、まず担当医に「安定期はどのくらいの頻度で通院が必要か」「長期処方は可能か」を確認してみてください。費用の見通しが立つだけでも、治療は続けやすくなります。
薬代や通院費について気になることがあれば、医療ソーシャルワーカーに遠慮なく相談してみましょう。制度の活用方法や家計面での支援先を一緒に探してくれる専門職で、病院の総合受付や地域連携室などで紹介してもらえます。
※本記事の情報は2026年6月時点のものです。医療費・制度の内容は改定される場合があります。個別の費用や制度の適用については、担当医・医療機関・各行政窓口にご確認ください。

