知っておきたい公的制度
■ 高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)
高額療養費制度とは、1ヶ月(1日〜末日)の医療費の自己負担額が一定の限度額を超えた場合に、超えた分が払い戻される仕組みです。限度額は年齢・所得によって異なりますが、たとえば70歳未満で年収約370〜770万円の方(区分ウ)の場合、自己負担限度額は「80,100円+(総医療費−267,000円)×1%」となり、万が一、骨粗鬆症による骨折で入院や手術が必要になった場合に、実質的な自己負担を大きく抑えることができます(※外来での注射薬のみでは上限額に達しないことがほとんどです)。
事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、医療機関の窓口での支払いを最初から限度額にとどめることができます。申請窓口は、会社員の方は勤務先の健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)、自営業・無職の方は居住地の市区町村窓口です。
また、マイナンバーカード(マイナ保険証)でオンライン資格確認をすると自動で自己負担限度額が適用されるため、高額療養費の申請不要や、窓口での支払いが自己負担限度額までに抑えられるというメリットがあります。
■ 医療費控除(いりょうひこうじょ)
医療費控除とは、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費の合計が10万円(総所得金額の5%が10万円未満の場合はその金額)を超えた場合に、確定申告をすることで所得税・住民税が軽減される制度です。骨粗鬆症の外来治療費・処方薬代・通院交通費(電車・バス代など)も対象に含まれます。ただし、市販の健康食品やサプリメント、定期健康診断の費用は原則として対象外です。領収書は1年分まとめて保管しておくことが重要です。申請窓口は居住地を管轄する税務署で、毎年2〜3月の確定申告期間に手続きを行います(e-Taxによるオンライン申告も可能)。
■ 介護保険制度(かいごほけんせいど)
骨粗鬆症による椎体骨折や大腿骨骨折が重なり、日常生活に支障が出てきた場合には、介護保険制度の利用を検討する価値があります。65歳以上の方(または骨粗鬆症性骨折などの特定疾病に該当する40〜64歳の方)が対象で、要介護・要支援の認定を受けることで、訪問リハビリ・デイケア・福祉用具(歩行補助杖・手すり等)の貸与などを1〜3割の自己負担で利用できます。まず居住地の市区町村窓口または地域包括支援センターに相談し、要介護認定の申請を行うことが第一歩です。
編集部まとめ
骨粗鬆症の治療費は、使用する薬の種類によって月数百円から数万円まで幅があります。通院費・薬代の目安と費用を抑えるポイントをまとめると以下のとおりです。
通院費(薬代・検査代除く)は月500円程度が目安で、骨密度検査(DXA法)や骨代謝マーカー検査が年1〜2回かかる
内服薬(ビスホスホネート製剤など)は月50〜1,400円程度と費用を抑えやすく、ジェネリック活用でさらに節約できる
注射薬(デノスマブ・テリパラチド・ロモソズマブ)は月換算で1,000〜15,000円と幅が大きく、骨折リスクの高い方ほど効果的な薬が選択される
万が一骨折して入院や手術が必要になった場合は、高額療養費制度を活用することで月の自己負担を一定額(上限額)に抑えることができる。
費用面の不安は、医療ソーシャルワーカーへの相談で解決できることが多い
骨粗鬆症と診断されたら、まず主治医に「どの薬が自分に合っているか」「月々の費用の目安はどのくらいか」を遠慮なく聞いてみましょう。費用について聞きにくいと感じる方は、病院の医療ソーシャルワーカーに相談することで、公的制度の活用方法を含めた具体的なアドバイスを得ることができます。
骨粗鬆症の治療は長期にわたることが多いですが、適切な薬を続けることで骨折リスクを着実に下げることができます。費用の見通しを立てながら、無理なく治療を続けていきましょう。
※本記事の情報は2026年5月時点のものです。診療費・薬価は定期的に改定されることがあるため、最新の情報は医療機関や各行政窓口にご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療・法律・税務アドバイスを提供するものではありません。

