●スピリチュアルではなく「人生に即した言葉」
美輪さんの代表作として『オーラの泉』(テレビ朝日)を挙げる人も多い。
だが、私は美輪さんを「スピリチュアルの人」だとは思っていない。
あの番組で、スピリチュアルな役割を主に担っていたのは江原啓之さんだった。一方、美輪さんは自らの豊富な人生経験をもとに「人生に即したアドバイスを与えること」に徹していた。
スピリチュアルな世界と、視聴者の人生を結びつける橋渡しができたのは、弱い立場の人々に寄り添いながら生きてきた美輪さんだったからこそだ。
●テレビを通じて「愛」を稀有な存在
事務所が公表した直筆メッセージには「この世のすべての問題を解く鍵は愛です」と記されていた。
まさに、美輪さんはテレビを通じて「愛」を伝えた人だった。
その愛は、ただ優しいだけではなく、時に厳しく叱りながら、それでも最後は相手を受け入れ、励ます愛だった。
だからこそ、その言葉は多くの視聴者の心に届いたのだろう。
人生そのものが画面越しに伝わる出演者は、決して多くない。美輪明宏さんは、テレビというメディアの力を体現した稀有な存在だった。

