●プラットフォーマーの「注意義務」
3つ目は、プラットフォーマーとしての注意義務違反の有無だ。
原告側は、タイミーが単なるマッチングの場の提供者にとどまらず、就労管理や賃金の立て替え払い、キャンセルルールの設計まで一元的に担い、その対価として企業側から手数料を得ている点に着目する。
牧野弁護士は「単なるマッチングの仲介役ではなく、マッチングの仕組み自体をタイミー自ら設計し、労働条件通知書の発行、立て替え払い、勤怠管理もそのシステムで完結している。その対価で報酬を得ている。そこから一歩踏み込んだプラットフォームを提供している事業者としての法的な責任を問いたい」と強調した。
もっとも、この主張のハードルは高いとも認める。
「プラットフォーマーの責任については、具体的に規制している法令が存在していない。契約の解釈や一般条項から(導く)というところで、簡単に認められる話ではない。乗り越える壁は高い」
そのうえで「そういった構造を作ってきたところには非常に責任があるのではないか。訴えを提起することは意義がある」と語った。
●ワーカーの男性「大元のタイミーが責任を取らないのはおかしい」
原告の40代男性は、本業のかたわら、2020年9月から通算約800回タイミーを利用してきたという。他社のアプリと違って「応募しやすい」ことが理由だった。
タイミー側が請求棄却を求めていることについて、男性はこう話した。
「タイミーを使ってしか(雇用主と)出会っていないし、タイミーを通じてキャンセルもできる。タイミーを通じて働いてきた。私たちも働きにいくと『タイミーさん』と呼ばれることもある。
タイミーがアプリを開発して構築して、ルールを作ってきた。そのルールに従ってきた自分たちが一番被害を受けて、大元であるタイミーが一切の責任を取らないというのはないのではないか」
男性は、キャンセル時に休業手当を受け取れたこともあるが、それは制度としてではなく、あくまで個別対応だったと話している。
(弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎)

