生成AIが医師を超える時代? 「DX推進」×「予防中心」で日本が目指す新たな“医療のカタチ”

生成AIが医師を超える時代? 「DX推進」×「予防中心」で日本が目指す新たな“医療のカタチ”

日本が進める医療DXの“2本柱”とは? ―医療情報が「つながる」時代へ

編集部

日本の医療DX*は、今どのような段階にあるのでしょうか?

*デジタル・トランスフォーメーション:デジタル技術を活用した変革

加藤先生

2022年6月の骨太の方針で設置が決まり、同年10月に総理大臣を本部長とする医療に特化したDX推進体制「医療DX推進本部」が設置されました。このような体制を国として設けたのは初のことです。
日本の医療DXには大きく二つの柱があります。一つ目は「全国医療情報プラットフォーム」の構築です。これは、今まで病院ごとにバラバラだった診療情報を統合し、退院サマリー、検査値、薬のアレルギー情報、病名などについて、全医療機関と個人がスマートフォンで共有できる基盤を作るという計画です。将来的にはマイナポータルと連携し、自分の採血データや診察記録をいつでも確認できる「PHR(パーソナル・ヘルス・レコード:個人が自分の医療情報を管理する仕組み)」の普及を目指しています。
二つ目は電子カルテの普及率向上です。現在の開業医の電子カルテ導入率は50~60%程度にとどまっているため、国が「標準電子カルテ」を開発し普及するという計画です。2026年度中の本格稼働、および2030年に電子カルテ普及率100%の達成を目指しています。

“無人化”する医療? 「治療中心」からAIありきの「予防中心」へ

“無人化”する医療? 「治療中心」からAIありきの「予防中心」へ

編集部

データの基盤が整うことで、医療はどう変わるのでしょうか?

加藤先生

「医療の無人化」が少しずつ進んでいくと考えています。スマートフォンに蓄積された個人の医療データをAIが解析し、「この症状であれば〇〇が疑われます。ただし直近の採血データが古いので、近くの病院で採血してもらうといいですよ」といったアドバイスをくれる――。そのような時代が到来するでしょう。弁護士業界に例えるなら、訴えられてから町の法律事務所に駆け込む(町弁)時代から、企業が顧問弁護士を常駐させる時代に変わったようなものです。医療も「病気になってから病院で受診する」形から「未病時からAIが常にモニタリングし、医師が伴走する」形へとシフトしていくでしょう。医療機関は、精密検査を受けるための場所へ変わっていくと考えています。

編集部

大きく変わりそうですね。予防医療については、どのようにお考えですか?

加藤先生

予防医療には1次/2次/3次予防があります。病気の発生そのものを防ぐ工夫が1次予防、人間ドックや検診のような「早期発見・早期治療」は2次予防にあたります。私が真の予防医療だと考えているのは1次予防で、病気にならないのが一番というシンプルな考え方に基づいています。昨今ではウェアラブルデバイスや健康アプリが普及し、食事、睡眠、運動のデータをリアルタイムで把握できるようになってきました。これらのデータをAIが解析することで、発症前に異変を検知し、個別化された予防医療を提供できる時代が近づいています。医療のあり方は、「病気を治す技術」から「人生を生き抜くための戦略」へと変わりつつあります。

配信元: Medical DOC

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