世代を超えて愛され続ける「トイ・ストーリー」シリーズの最新作『トイ・ストーリー5』が公開された。1996年の第1作目日本公開から30年以上にわたり、主人公・ウッディの日本版声優を務めてきた唐沢寿明へのインタビュー。前編では、最新作が描くおもちゃと子供をめぐる現代的な葛藤や、30年にわたるシリーズの歴史について語ってもらった。続く後編では、過酷を極めたというアフレコ収録の舞台裏や、役者だからこそ語れる「声優という職業のすごさ」などを聞いた。
初アフレコ「終わらないんじゃないか」と思ったことも
――今回のアフレコ収録はスムーズに進んだのでしょうか?
「すごくやりやすかったですよ。今回はジェシーが大変だったんじゃないかな。物語で重要なカギを握るキャラクターですからね。そういう意味では、ぼくは比較的楽をさせてもらったかなという感じです」
――これまでのシリーズ全5作の中で、ウッディの声を演じる上で一番苦労したシーンや思い出はありますか?
「やっぱり、1作目が一番苦労したし大変でしたね。当時はアフレコのやり方もよく分からなかったし、どう表現すればいいのか手探りでした。台本を読んでブースに入っても、映像のスピードに自分のセリフが全然合わなかったりして。『これは大変だ、終わらないんじゃないか』って本気で思いましたから(笑)。
それに、ウッディってバズなどと激しくやり合うじゃないですか。ああいう『わーっ!』ってエネルギーを出す長いシーンが続くと、本当に大変だなと思っていました。初期のころはテンポもすごく早かったですしね。
あと、2作目でウッディが歌を歌っているシーンがあったでしょ。あれを見て、ぼくが全部歌を歌っていると勘違いしている人が多いみたいだけど、2作目の劇中歌以外は僕じゃなくてダイアモンド☆ユカイさんですからね(笑)。
当時、『歌えますか?』って聞かれたときに、ぼくは歌手じゃないから自信を持って『歌いません!』って断ったんです(笑)。だから、歌がうまいユカイさんにお願いして本当に良かったなと思っています」
「声優をやって良かった」と思えるように
――今回も多くの新しいキャラクター、そして新しいキャストが参加されていますが、皆さんの声の演技の印象はいかがですか?
「みんなうまいよね、若い子が。声のお芝居、演技が本当にうまいなと思います。
まあ、声優という専門の職業がこれほど確立されているのは日本独特で、海外だと『ボイスアクター』と言っても、俳優たちがそのまま声を当てている場合も多いですよね。日本の声優さんは声にすごく特徴や唯一無二の魅力がある人が多いと思う。
そういう意味では、海外と同じように『俳優が声を当てる』という形で、自分がこの役を続けてこられたのも良かったのかなと、最近やっと素直に思えるようになりました。一番最初は『これは大変な仕事だ、声優さんって本当にすごいな』って圧倒されてばかりでした。けれどトム・ハンクスさんたちが声を当てているお芝居を見て、『俳優だけど声優をやって良かったんだ』と思えるようになりました」
――俳優から見て、声優という職業の「すごさ」はどんなところにありますか?
「ぼくらの世代でいうと、例えば『ルパン三世』の山田康雄さん。あの声でしゃべったら、もうルパン三世じゃないですか。あの人以外の声になったら、みんな最初は拒否反応を示すと思うんです。それくらい、声に絶対的なイメージと特徴がある。
今回の作品でも、そういう絶対的な強さを持っているのは、やっぱりバズ役の所ジョージさんじゃないですか。所さんは普段のバラエティー番組でしゃべっていても、なんかバズがしゃべっているなと思っちゃう(笑)。あの人のキャラクターとおもちゃのキャラクターが、見事に合致しているんですよね。
だから今となっては合っているということなんでしょうね。最初にぼくらじゃない人がやったら、その人たちの印象になっているということになっているだろうし」

