自分の土地をどうすればいいか分からない…… 悪徳業者も狙う行き場のない“負動産”たち
Aさんの土地は、僕が動画制作のための材料として引き取ることになったのだが、「ニューハイツ白鳳台」の他の土地の所有者に関しては、僕も連絡を取っていないし、今後なにか変化が起こる兆しもない。旧上野市における線引きから34年が経過し、今は伊賀市独自の建築条例に切り替わったが、「ニューハイツ白鳳台」に関しては、今も変わらず建築不可のままである。そしておそらく、その伊賀市の建築条例の存在すら知らない所有者が大半なのだろう。
高度成長期やバブル期の時代に、今では信じられないような価格の土地を高値づかみしてしまい、値段が暴落した現実を受け入れられず手放せない、というストーリーも考えられるかもしれない。しかし、僕が実際に会って話した分譲地の所有者の多くは、購入者本人であれ相続人であれ、高値で売れることなどまったく期待しておらず、手放せるのであればタダでも構わないと考えていた。
ところが、どんな形であろうと、専門の業者に依頼すればタダで済むことはないし、不動産に関心がなければ、その専門業者を探し当てることも困難である。多くの所有者は欲をかいているのではなく、自分の土地をどうすればよいのかもわからず持て余しているのであって、ともすれば、それが一部の悪徳業者につけ入られる隙を与えているのである。
僕は分譲地の話が専門だが、現代の日本において、値段がつけられず、処分が困難になっている不動産は分譲地に限らない。地方や田舎の古い空き家、手入れされなくなった農地や山林、老朽化が進んだマンションなど、今や所有者側がお金を払って手放す「負動産」は枚挙にいとまがない。ある程度の金銭的負担はやむを得ないにせよ、もう少し処分の手段が広く周知されない限り、行き場もなく放置されてしまう「負動産」は、ますます増加していくことになるだろう。

