●面会交流中に子どもが殺害された事件も
こうした危険は性的虐待だけではない。
2017年には兵庫県伊丹市で、面会交流中に4歳の女の子が父親に殺害される事件が起きた。
当時の読売新聞によると、母親は養育費が支払われていないとして家裁に調停を申し立てた。父親は面会回数の増加を求めたが、母親は同居時の暴力などを訴えて反対したという。
その後、審判に移行して、面会交流は月1回に決まったが、初回で最悪の結果となった。
「こうした事件は突然起きるわけではありません。多くの場合、お母さんは事前に何らかのSOSを発しています」
岡村弁護士は、裁判所が面会交流の方法や回数まで細かく決めなければならないケースは、もともと親同士の対立や不信が強い事案だと指摘する。
「親同士の信頼関係があれば、裁判所が細かなルールを決める必要はありません。それができず、第三者機関を介してキャンセルの連絡までしなければならないのは、それだけの事情があります。
それでも、性的からかいなどの段階では、危険性が軽く受け止められ、面会交流が続いてしまうことがあります」
●共同親権導入で問われる「子どもの安全」
今年4月、共同親権の導入を柱とする改正民法が施行された。
あわせて、法律上の「面会交流」は「親子交流」と位置づけられ、「DV・虐待等に対する安全確保の徹底」が制度の理念として掲げられた。
制度上は、子どもの安全が重視されることになった。しかし、その理念が現場でどこまで実現されるかは、これからの運用にかかっている。
親や子どもが発するSOSを、裁判所を含む関係機関がどこまで受け止められるのか──。
岡村弁護士は「安全確保という理念を、実際の運用でも徹底していくことが重要です」と話している。

