●悪質業者が狙うのは「冷静さ」を失った消費者
──害虫駆除や水回り、鍵開けなどのレスキュー商法の被害を防ぐには、どうすればいいでしょうか。
レスキュー商法は、人間の「困った状況」につけ込む商法です。
人は困った状況になると、「何とかこの状態から脱したい」と懸命になります。その結果、視野が狭くなり、冷静で合理的な判断ができなくなります。これが悪質業者の狙いです。
予防のためには「困ったときにどうするか」を、困る前に考えておくことが大事です。
たとえば、漏水なら止水栓の場所や止水方法を確認しておく。トイレ詰まりならラバーカップなど応急処置の道具を備えておく。賃貸住宅なら管理会社の連絡先をすぐ確認できるようにしておく。事前にできることは少なくないはずです。
──高額請求されてしまった場合、まず何をすべきですか。
高額請求を受けた場合、多くの人は簡単に抗えません。
先ほども触れましたが、「自分が呼んだ業者が作業をし終えたのに、お金を払わない」という判断はなかなか難しいものです。
「おかしい」「高すぎる」と思いながらも、その場を収めるために支払ってしまう人がほとんどでしょう。一人暮らしの高齢者や若年者ならなおさらです。
もちろん、支払わないのが最善ですが、それができなくても、「自分は馬鹿なことをしてしまった」と落ち込む必要はありません。
多くの場合、まず取るべき行動は、すぐに「188」(消費者ホットライン)へ電話して、消費生活センターに相談することです。クーリング・オフなど、状況に応じた対応を案内してもらえます。
●根本にはプラットフォームの問題もある
もう一つ、本質的な問題があります。
このようなレスキュー商法を可能にしている背景には、悪質業者から多額の広告費を吸い上げているGoogleなどの超巨大広告プラットフォームの存在があることを、内閣府消費者委員会も2025年8月の意見書で指摘しています。
事態は極めて深刻です。「消費者がもっと注意すべき」で済まされるものではありません。個々の消費者の注意力や勇気ある行動だけに期待するには限界があります。
この仕組みそのものに手を入れなければ、悪質業者はまさにゴキブリのように、いつまでも増え続けるでしょう。
【取材協力弁護士】
住田 浩史(すみだ・ひろし)弁護士
2004年弁護士登録。京都弁護士会所属。京都大学法科大学院非常勤講師(消費者法)。共著に『消費者法入門-消費者と企業の視点から』など。
事務所名:住田浩史法律事務所
事務所URL:https://sumidahiroshi.jp/

