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ストーブで私服を乾かした音楽教員、「自腹」で賠償にならないの?「小学校火災」を自治体弁護士が徹底解説

ストーブで私服を乾かした音楽教員、「自腹」で賠償にならないの?「小学校火災」を自治体弁護士が徹底解説

東京都北区立滝野川第三小学校で6月、授業中に校舎4階の音楽準備室から出火し、児童と教員合わせて11人が負傷する火災が起きた。

その後、出火元の音楽準備室では、音楽担当の女性教諭が、家庭科室の洗濯機で洗った私服を私物の電気ストーブやサーキュレーターで乾かしていたことが明らかになっており、警視庁は失火の疑いも視野に調べている。

ネット上では、教師のミスで児童がケガをした場合、教師本人に損害賠償を請求できるのか、プールの水を止め忘れたケースで教員が弁償を求められたこととの違いは何かといった疑問も上がっている。

今回のように公立学校で起きた事故では、児童や保護者は誰に責任を問えるのか。また、自治体は教員個人に損害賠償を求めることができるのか。

自治体内弁護士の吉永公平弁護士が、一般論として、教員・自治体・被害者の法的な関係を整理する。

●児童がケガをした場合、誰に賠償を請求できるのか

今回の火災で、心身ともに被害を受けた方や、分散登校を余儀なくされている方、関係者のみなさまに心よりお見舞い申し上げます。

この解説では、仮に失火の原因が教員(公務員)にあった場合について、一般論として、公立学校の火災事故における公務員、自治体、被害者の関係について説明します。

まず、重要なのは「被害者が誰なのか」という点です。

児童が負傷した場合、教員が勤務する自治体(市区町村立学校であれば市区町村)は、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。

また、いわゆる「県費負担教職員」であれば、都道府県も責任主体となり得ます(国家賠償法3条1項)。

ただし、国家賠償法が適用されるためには、その行為が「職務を行うについて」されたものと認められる必要があります。

この「職務を行うについて」という要件は、公務や公務に伴って行われ行為だけでなく、客観的に職務執行の外形を備えた行為まで含まれると、最高裁判例で広く解されています(最高裁昭和31年11月30日判決)。

これに該当する場合には、被害者は教員個人に直接損害賠償を請求することはできません(最高裁昭和53年10月20日判決)。

一方、これに該当しない場合には、国家賠償法ではなく、教員個人に対する民法709条の不法行為責任(プラス後述する失火責任法)が問題になります。

●失火責任法なら「重大な過失」が鍵に

ここで問題になるのが失火責任法です。

失火責任法は、火災による損害について、故意または重大な過失(重過失)がある場合を除き、損害賠償責任を制限する法律です。

この考え方は国家賠償法にも及ぶため、教員に重過失が認められなければ、自治体が国家賠償法上の責任を負わないことになります(最高裁昭和53年7月17日判決)。

自治体が被害者に賠償する場合には、国家賠償法1条2項により、教員に重過失があれば、自治体が教員へ求償できる可能性があります。ただし、その求償額は制限される可能性があります(最高裁昭和51年7月8日判決)。

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