ショートスリーパーの診断基準とは?メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「ショートスリーパー」はなりたくてなれるものなの?寿命についても医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
村上 友太(医師)
医師、医学博士。
福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長、東京予防クリニック院長を歴任。現在は神宮前統合医療クリニックなどで脳機能向上、認知症予防を中心に診療している。
【資格・所属】
日本脳神経外科学会専門医
日本脳卒中学会専門医
日本抗加齢医学会専門医
日本健康経営専門医
ショートスリーパーとは?

一般的に、成人では7時間以上の睡眠が健康維持のために勧められています。一方で、ごく少数ですが、6時間未満の睡眠でも日中の強い眠気や疲労感が目立たず、生活に支障なく過ごせる人がいます。こうした人たちは、いわゆるショートスリーパー(自然短眠の傾向がある人)として語られることがあります。
ただし、「睡眠時間が短い=ショートスリーパー」ではありません。 多くの場合、短時間睡眠は単なる睡眠不足、生活習慣、ストレス、仕事の都合、あるいは睡眠障害などによって起きています。ショートスリーパーと呼ばれる人は、体質的に必要な睡眠時間が短い可能性がある、非常にまれなタイプと考えた方が正確です。
ここで重要なのは、「短時間睡眠」と「ショートスリーパー」は別物だという点です。短時間睡眠の人は、本来もっと睡眠が必要なのに足りていない可能性があります。一方で、ショートスリーパーは、短い睡眠でも日中の機能が大きく落ちにくいと考えられています。ただし、自然短眠の人を大人数で長期間追跡した研究はまだ多くなく、分かっていない部分も残っています。
どのような基準でショートスリーパーと診断される?

まず前提として、「ショートスリーパー」は高血圧や糖尿病のように、血液検査や画像検査で一発診断できる病名ではありません。臨床では、自然短眠の可能性があるか、それとも睡眠不足や睡眠障害で短時間睡眠になっているのかを見分けることが中心になります。
問診と睡眠日誌(睡眠ログ)
入眠時刻・起床時刻、夜中に起きた回数、昼寝、カフェインや飲酒、日中の眠気、休日の寝だめ、仕事や勉強への影響などを1〜2週間程度記録します。ポイントは、短い睡眠でも日中機能が保たれているか、そして睡眠時間を延ばしたときに調子が明らかに良くなるかを確認することです。
睡眠時間が短いことだけでは診断できず、生活への影響を合わせてみる必要があります。
客観的な睡眠時間の確認(アクチグラフィ等)
アクチグラフィは、腕時計型の機器で活動量を測り、睡眠・覚醒のリズムを推定する方法です。本人の申告だけでは分かりにくい睡眠パターンを客観的に確認するのに役立ちます。国際的な睡眠検査の推奨でも、必要に応じて2週間程度の睡眠日誌やアクチグラフィを組み合わせることが勧められています。
睡眠障害の除外
睡眠障害の除外はとても大切です。短時間睡眠の背景に、不眠症、睡眠時無呼吸症候群、概日リズム睡眠・覚醒障害などが隠れていることがあります。特に睡眠時無呼吸症候群は頻度が高く、放置すると高血圧や心血管疾患のリスクとも関係します。いびき、無呼吸、日中の強い眠気がある場合は、必要に応じてポリソムノグラフィ(PSG)で評価することがあります。
日中の眠気・覚醒度の評価
エプワース眠気尺度(ESS)は、日中の眠気を点数化する質問票です。さらに詳しく調べる必要がある場合には、睡眠検査室でMSLT(反復睡眠潜時検査)やMWT(覚醒維持検査)を行い、客観的に眠りやすさや覚醒の保ちやすさをみることがあります。

