「動脈硬化と歯周病」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「動脈硬化と歯周病」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
歯周病になると動脈硬化にどのような影響が出ますか?
豊栖 久美子(歯科医師)
歯周病になると、歯ぐきに炎症が起こり、出血しやすい状態になります。このとき、歯周病菌や細菌が作り出す毒素、炎症物質が血液中に入り込み、全身を巡るようになります。血液中に入り込んだ歯周病菌や炎症物質は、血管の内側(血管内皮)を傷つけ、慢性的な炎症を引き起こします。血管に炎症が続くと、コレステロールなどが血管壁に蓄積しやすくなり、動脈硬化の進行を促進すると考えられています。動脈硬化が進行すると、心臓の血管では狭心症や心筋梗塞、脳の血管では脳梗塞などの重大な病気を発症するリスクが高まります。
重度の歯周病は全身疾患を引き起こすと聞きました。半年おきに歯科検診を受けていれば大丈夫でしょうか?
豊栖 久美子(歯科医師)
半年ごとの歯科検診は、むし歯や歯周病の予防・早期発見に非常に有効です。しかし、「半年ごとに受診しているから絶対に大丈夫」とは言い切れません。歯周病のリスクは人によって大きく異なります。歯周病の既往がある方や糖尿病のある方、喫煙者の方、歯石がつきやすい方などは、3〜4か月ごとのメンテナンスが推奨されることもあります。大切なのは検診の回数だけではなく、毎日の適切な歯磨き・歯間ブラシやフロスの使用・定期的な歯石除去・禁煙・糖尿病などの基礎疾患の管理を継続することです。もし歯周病の治療歴がある場合や、歯ぐきから出血しやすい、歯がぐらつくなどの症状がある場合は、半年を待たずに歯科医院へ相談することをおすすめします。
歯周病と心臓疾患にはどのような関係がありますか?
豊栖 久美子(歯科医師)
歯周病が進行すると、歯ぐきの炎症によって出血しやすくなります。この部分から歯周病菌や炎症物質が血液中に入り込み、血管の内側を傷つけて慢性的な炎症を引き起こし、動脈硬化を進行させる一因になると考えられています。動脈硬化が進むと、心臓に血液を送る冠動脈が狭くなり、狭心症や心筋梗塞のリスクが高まります。実際に、重度の歯周病がある方では、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患の発症率が高いことが報告されています。歯周病は予防や治療が可能なリスク因子の一つとして注目されています。お口の健康を守ることは、歯を守るだけでなく、心臓や血管を守ることにもつながります。
動脈硬化が進むとどんな症状が出ますか?
豊栖 久美子(歯科医師)
動脈硬化は初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。しかし進行すると、心臓の血管では胸の圧迫感や締め付けられるような痛み・息切れが現れ、脳の血管では手足のしびれや麻痺・ろれつが回らない・めまいなどが起こります。足の血管では歩くと足が痛くなる・少し休むと痛みが改善する・足先が冷たいなどの症状が現れ、腎臓の血管では血圧上昇やむくみ・腎機能の低下が起こる場合があります。症状が出た時にはすでにかなり進行していることが多いため、リスク因子がある方は症状がなくても定期的な健康診断や検査を受けることが重要です。
まとめ 歯周病と動脈硬化には知られざる深い関係があるは!
歯周病と動脈硬化は、一見すると関係のない病気に思えるかもしれません。しかし、歯周病による慢性的な炎症は全身に影響を及ぼし、動脈硬化の進行に関与すると考えられています。動脈硬化が進行すると、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞など命に関わる病気を引き起こすリスクが高まります。そのため、お口の健康を守ることは、全身の健康を守ることにもつながります。毎日の歯磨きや歯間ブラシ・フロスによるセルフケアはもちろん、定期的な歯科検診と歯周病治療を継続することが大切です。また、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある方は、内科での管理も併せて行いましょう。歯周病も動脈硬化も、初期にはほとんど自覚症状がありません。症状がない今こそ、歯科と内科の両面から健康管理を行い、歯も血管も長く健康に保っていきましょう。

