3. 治療法別の費用比較
バセドウ病の治療法には、大きく分けて「抗甲状腺薬」「放射性ヨウ素療法」「手術療法」の3つがあります。それぞれの費用感を把握しておくと、主治医との相談がスムーズになります。
■ 抗甲状腺薬・初期費用の目安:約3,500〜8,000円(初診時)
・継続費用:月1,700〜8,000円
・主な特徴:入院不要
■ 放射性ヨウ素療法
・初期費用の目安:約20,000〜50,000円(1回)
・継続費用:治療後は甲状腺ホルモン薬が必要になることも
・主な特徴:外来で実施
■ 手術療法
・初期費用の目安:約200,000〜500,000円(自己負担)
・継続費用:手術後は定期検査・薬が必要な場合も
・主な特徴:入院1〜2週間
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
放射性ヨウ素療法は外来で実施でき、一度の治療で効果が得られることが多い一方、治療後に甲状腺機能が低下して甲状腺ホルモン薬(レボチロキシン)の内服が必要になるケースもあります。手術は根治を目指すための選択肢ですが、入院費や手術費がかかり、術後の定期検査も必要です。なお、手術費用は施設や入院日数によって変動が大きいため、受診先の医療機関に事前に確認することをおすすめします。どの治療法が適しているかは、病状・年齢・ライフスタイルによって異なるため、必ず主治医に相談してください。
※表の金額は高額療養費制度を利用する前の目安です。入院や手術で医療費が高額になる月でも、後述の高額療養費制度を利用すれば、ひと月あたりの自己負担額が抑えられます。
4. 知っておきたい公的制度
バセドウ病の治療では、いくつかの公的制度を活用することで自己負担を大幅に減らせる可能性があります。
■ 高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)
1か月の医療費(同一医療機関での自己負担)が一定額を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。自己負担の上限は収入によって異なり、一般的な所得の方(年収約370〜770万円)であれば、月の上限はおよそ80,100円+(総医療費-267,000円)×1%です(たとえば医療費の総額が100万円かかった月の上限額は約87,430円になります)。手術や入院が必要になった月に特に有効で、申請窓口は加入している健康保険(会社の健保組合・協会けんぽ・国民健康保険)です。
なお、高額療養費制度の自己負担の上限額は、2026年8月から段階的に引き上げられます。一般的な所得の方(年収約370〜770万円)の場合、上限額の計算の基礎となる金額が80,100円から85,800円へと引き上げられるほか、新たに年間(8月〜翌年7月)の上限額(この区分で約53万円)も設けられます。さらに2027年8月にも追加の見直しが予定されているため、長期の通院や入院が見込まれる場合は、受診時点での最新の上限額を医療機関や加入している保険者の窓口で確認しておくと安心です。
また、マイナ保険証を利用してオンライン資格確認を受ける場合は、限度額適用認定証の事前申請をしなくても、自動的に窓口での支払いが自己負担の上限額までに抑えられます。この場合、高額療養費の後日の払い戻し申請も原則として不要です。
■ 限度額適用認定証(げんどがくてきようにんていしょう)
高額療養費の払い戻しは後払いになりますが、事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、窓口での支払い時点から上限額に抑えることができます。入院や手術が予定されている場合は、あらかじめ加入している健保や国民健康保険の窓口に申請しておくと安心です。
■ 傷病手当金(しょうびょうてあてきん)
会社員・公務員が病気やけがで連続3日以上仕事を休んだ場合に、4日目から標準報酬日額の3分の2相当が最長1年6か月支給される制度です。バセドウ病の急性期や手術後の療養中に利用できる場合があります。申請は加入している健保組合・協会けんぽの窓口です。自営業者・フリーランスの方は対象外となります。
■ 医療費控除(いりょうひこうじょ)
1年間(1月〜12月)の医療費の合計が10万円(または所得の5%)を超えた場合に、確定申告をすることで所得税・住民税の一部が戻ってくる制度です。通院のための交通費も対象になります。治療が長期に及ぶバセドウ病では年間の医療費が10万円を超えるケースもあるため、領収書は必ず保管しておきましょう。申請は翌年の確定申告で行います。税務署の窓口のほか、国税庁のe-Tax(電子申告)を利用すれば自宅からオンラインで手続きできます。

