熱中症は薬で治せない―救急車を呼ぶ「3つの目安」と治療の主役“冷却”:熱中症特集第3回「治療編」

熱中症は薬で治せない―救急車を呼ぶ「3つの目安」と治療の主役“冷却”:熱中症特集第3回「治療編」

回復した後―原因究明し改善・調整を

医療機関で治療を受けて「回復した」と思ってからも注意は必要です。熱中症では脱水と高体温が問題になります。来院時より良くなっていても、普段に比べればまだ脱水が残っていることが少なくありません。症状が完全になくなったと思って仕事やスポーツに戻っても、表面に出ていないだけで脱水が残っていることがあります。しっかり休養をとり、注意深く様子を見てください。特に高齢の人や子どもについては、ご家族や指導者、管理者が見守ることが重要です。

一度回復しても、熱中症を引き起こした生活環境や体調などの要因が変わらなければ、また熱中症になってしまいます。大切なのは、なぜ熱中症になったのか原因を見極め、生活や環境を改善・調整することです。
屋外の仕事のように、環境を変えにくい現場もあります。だからといって、無理を続けてよいわけではありません。誰かが熱中症になったとき、その人の対策が不十分だったと考えるのではなく、熱中症が発生したのが運動中ならば練習の内容や時間、仕事中なら職場の環境そのものを見直す必要があります。ここは管理者がしっかり判断すべきところです。厚生労働省の検討会でも、納期や、特に建設現場の環境について、取引先も十分に配慮するよう促しています。「仕事だから最後までやろう」ではなく、会社や職場、社会全体として、現場の負担を減らすように改善していくことが求められます。

「1つの対策で安心」しない―救急医からのメッセージ

最後にお伝えしたいことがあります。ファン付き作業着やウェアラブルデバイスだけで、熱中症を完全に予防できるわけではありません。これは厚生労働省の有識者会議でも示されています。使ってはいけない、という意味ではなく、「これを使っているから大丈夫」と1つの対策に頼りすぎないでほしい、ということです。

日頃からの体調管理、こまめな水分・塩分の補給、十分な休憩――どれか1つをやったから安心、ではなく、総合的に、そして常に注意深く見ていくことが大切です。自分自身はもちろん、同僚やチームメイト、管理する従業員のことも気にかけてください。そして、少しでも体調に異変を感じたら、無理をせず早めに休むこと。「ちょっとおかしいな」と思ったら、医療機関にかかることをためらわないでください。救急車を呼ぶ目安は、意識がない、水を飲めない、水を飲んでも改善しない――この3つです。迷ったときは、待たないこと。そして、呼んだことを誰も責めないこと。それが、熱中症で命を落とさないために、何より大切なことだと思います。

配信元: Medical DOC

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