第175回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、オードリー・若林正恭の初小説「青天」は惜しくも直木賞の受賞を逃した。これに誰よりも複雑な表情を浮かべたのが、かつてユニット「たりないふたり」で共に戦った南海キャンディーズの山里亮太だ。山里は同日深夜のラジオで、盟友の快挙と落選に対するリアルな「嫉妬」と「安堵」、そして落選したからこそ湧き上がる新たな恐怖を語り尽くした。
発表直前は「好きな人からの連絡を待つ」状態に
15日深夜に放送されたTBSラジオ「水曜JUNK 山里亮太の不毛な議論」の冒頭、山里は「あの…もう『カス人間』でございますけどね」と、Netlixで配信が始まったドラマ「ガス人間」をもじって自虐的に切り出した。世間から、若林の落選に対して「安堵の表情を浮かべているのではないか」と思われていることを察しつつ、発表前の自身がいかにソワソワしていたかを告白した。
山里はこの日、発表が近づく夕方午後5時以降、仕事の合間もずっとスマートフォンを手放せなかったという。その時の様子を、山里はこう振り返った。
「携帯を持ち、その第一報が出るとSNSのアカウントをずっとスライドして、スライドしてやって。ちょっと時間空くたびにスライドしてみたいな感じで。世代で分かるとするならば、好きな人にメールを送った後の無反応の時のセンター問い合わせぐらいの頻度。ずっとやるみたいな」
あまりの落ち着きのなさから、周囲のマネージャーからは「てめえの受賞待ってるみたいな空気出してんじゃねえよ」という冷ややかな視線を浴び、さらに緊張のあまり何度もトイレに行く山里に「なんで緊張してるんですか?」とツッコミが入る始末だった。
「受賞は許さない」その裏にある愛と恐怖
結果、第175回直木賞は朝倉かすみさんの「けんぐゎい」に決定し、若林の受賞はならなかった。しかし、山里の嫉妬の炎はこれで消えたわけではなかったようだ。むしろ、選評で若林が「この先にどんなものを書かれるのかを見てみたいという意見があった」と期待されている状況に、山里はさらなる恐怖を抱いている。
若林の小説「青天」は、弱小高校のアメフト部を舞台にした青春小説。累計発行部数は29万部を突破する大ヒットを記録している。若林はこれまでにも、キューバへの旅をつづったエッセイで第3回斎藤茂太賞を受賞するなど、文筆家としての高い実力が認められていた。また、直木賞の発表当日、相方の春日俊彰は会見で「中学の同級生が直木賞作家になるって面白いじゃない」と語り、若林へのエールを送っていた。
このように周囲からの期待と評価がさらに高まる状況について、山里はラジオで自身の「器の小ささ」を認めつつも、こう吠えた。
「器ちっちゃくないよ、全然俺。ノミネートを許してるんだから。受賞は許さない。許さないよ、私は。私は許さないよ」
そして、直木賞を逃した若林が、この悔しさをバネにさらに素晴らしい傑作を書き上げてしまうのではないかという未来に怯えているのだ。
「本当に才能のある人って、その期待に応えて、いいのを作るじゃない。それが嫌だね」
「これが作れちゃった人間が次に、もし何クソなんて思いがあったりとかして、それ以上のもん作っちゃったら、嫌じゃん。もっとこう、嫌な理由で落として欲しかったな。アメフト知らねえからなんだよな、みたいなとかさ。すげえ才能に出会えた、この才能の次なる展開を見たいなんてのを才能がある人にやったら、それがまた新しい花を咲かせるってことでしょ。それはね、ちょっと嫌かもな」

