知っておきたい公的制度
緑内障の治療が長期にわたる場合や、病状が進行した場合に利用できる公的制度をご紹介します。
■ 高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)
同じ月内に支払った医療費が一定の上限額を超えた場合、超過分があとで払い戻される制度です。たとえば70歳未満で年収約370〜770万円の方の場合、1か月の自己負担上限は「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」となり、たとえば医療費の総額が100万円かかった月では上限額は約87,430円です。手術・入院が必要になった場合に特に効果的です。申請窓口は加入している健康保険組合または市区町村の国民健康保険担当窓口です。なお、高額療養費は原則として後日の払い戻しになりますが、あらかじめ「限度額適用認定証」を医療機関の窓口に提示すれば、はじめから自己負担限度額までの支払いで済みます。マイナ保険証を利用してオンライン資格確認を受ける場合は、この認定証の事前申請も不要で、自動的に窓口負担が上限額までに抑えられます(後日の払い戻し申請も原則不要です)。また、高額療養費の自己負担上限額は、2026年8月から段階的に引き上げられる予定です。一般的な所得の方(年収約370〜770万円)の場合、上限額の計算の基礎となる金額が80,100円から85,800円へ引き上げられるほか、新たに年間(8月〜翌年7月)の上限も設けられます。長期の通院や入院が見込まれる場合は、受診時点での最新の上限額を医療機関や加入先の窓口で確認しておくと安心です。
■ 身体障害者手帳(視覚障害)
緑内障が進行し、視力や視野が一定の基準を下回った場合、身体障害者手帳(視覚障害)の申請ができます。手帳を取得すると、医療費の自己負担が軽減される「自立支援医療制度(更生医療)」が利用でき、税金の軽減・交通費割引なども受けられます。申請は市区町村の障害福祉窓口で行います。主治医に診断書の作成を依頼してください。
■ 障害年金(しょうがいねんきん)
緑内障による視覚障害が重度で、日常生活や就労に著しい支障がある場合には、障害年金の受給が認められることがあります。令和4年(2022年)の認定基準改正により、視野障害でも1級認定が可能になりました。申請は国民年金・厚生年金によって申請先が異なりますが、年金事務所または市区町村の窓口で手続きできます。
編集部まとめ
緑内障の治療費は安定期であれば月1,000〜6,000円程度が目安ですが、重症化してレーザー治療や手術が必要になると費用が大きくなります。ただし公的制度を活用することで自己負担を大幅に抑えられます。
安定期の通院費目安は月1,000〜6,000円(点眼薬+定期診察・検査、3割負担)
点眼薬はジェネリックへの切り替えで費用を3〜5割削減できる場合がある
手術・レーザーが必要な場合は高額療養費制度で1か月の自己負担に上限が設けられる
視力・視野が障害基準を下回った場合は身体障害者手帳で医療費の助成が受けられる
費用面の不安は、医療ソーシャルワーカーへの相談で解決できることが多い
緑内障と診断されたら、主治医に治療の長期見通しと費用感を早めに確認することが大切です。「費用が不安で続けられるか心配」と感じたら、ジェネリックへの切り替えや公的制度の活用について担当医や医療ソーシャルワーカーに相談してみてください。費用の見通しが立つだけでも、治療は続けやすくなります。
視野は一度失うと元には戻りません。早めに確認し、遠慮なく相談することが何より大切です。
※本記事の情報は2026年7月時点のものです。制度の内容や費用は変更される場合があります。具体的な費用や制度の適用については、医療機関や各窓口にご確認ください。

