薬物療法の種類と月額費用
前立腺肥大症の薬物療法で使われる薬は大きく3種類あります。症状の程度・前立腺の大きさ・体の状態によって処方される薬が異なります。それぞれの特徴と月額費用の目安を確認しておきましょう。
■ α1受容体遮断薬(アルファワンじゅようたいしゃだんやく)
膀胱の出口を緩め、尿の通りをよくする薬で、前立腺肥大症治療の第一選択薬(だいいちせんたくやく)として広く使われています。たとえるなら、狭くなった水道管を拡げるような働きをする薬です。代表的な薬にはハルナール(タムスロシン)、ユリーフ(シロドシン)、フリバス(ナフトピジル)があります。服用を始めると比較的早期に効果が現れるのが特徴です。めまいや血圧低下が起こることがあるため、降圧剤を服用中の方は医師に必ず申告してください。また、薬の種類によっては、精液が出にくくなる・量が減るといった射精に関する変化が起こることがあります(特にシロドシンで多くみられます)。体に害のある症状ではありませんが、気になる場合は医師に相談しましょう。
後発品(ジェネリック医薬品)が多く出ており、薬剤費(薬そのものの値段)の3割負担で計算すると、月額の目安は後発品で約100〜250円、先発品でも約150〜550円程度です。
■ PDE5阻害薬(ピーディーイーファイブそがいやく)
前立腺や尿道の筋肉そのものを緩めることで排尿を改善する薬で、ザルティア(タダラフィル)が代表薬です。1日1回の服用で済むため、毎日の継続がしやすいのが特徴です。ただし、狭心症などで硝酸剤(ニトログリセリンなど)を服用している方は一緒に服用できないため、必ず主治医に他の薬の内容を伝えてください。3割負担の場合、薬剤費の月額目安は約300〜700円です(後発品〜先発品)。
■ 5α還元酵素阻害薬(ごアルファかんげんこうそそがいやく)
男性ホルモンの働きを弱めることで前立腺そのものを小さくし、症状を改善する薬です。アボルブ(デュタステリド)が保険適用を受けています。効果が現れるまでに3〜6か月程度かかることがありますが、前立腺が特に大きいケースや、長期的に服用を続けることで前立腺を縮小させたい場合に有効です。また、PSA(前立腺がん検査の数値)の値が約半分に低下するため、この薬を飲み始める前と服用中に前立腺がんの検査を受け、見逃しがないよう注意が必要です。3割負担の場合、薬剤費の月額目安は約200〜450円です。
■ α1受容体遮断薬・代表薬:ハルナール・ユリーフ・フリバス
・月額目安(3割負担):約100〜550円
■ PDE5阻害薬
・代表薬:ザルティア
・月額目安(3割負担):約300〜700円
■ 5α還元酵素阻害薬
・代表薬:アボルブ
・月額目安(3割負担):約200〜450円
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
※上記は1種類あたりの薬剤費の目安です。前立腺肥大症では複数の薬を併用したり、頻尿などの症状に対して別の薬が追加されたりすることもあり、その場合は薬剤費がさらに加わります。実際に薬局で支払う際は調剤料などが加わり、再診料・処方箋料も含めた月々の通院コスト全体では、おおむね3,000〜6,000円程度が目安です。
費用を抑えるためにできること
薬物療法は長期にわたることが多いため、少しずつでも費用の負担を軽くする工夫が大切です。
まず検討したいのが、ジェネリック医薬品(後発医薬品)の活用です。ジェネリック医薬品とは、先発品(最初に開発・販売された薬)と同じ有効成分で同等の効果が認められた薬のことです。前立腺肥大症に対する治療薬の多くには後発品があり、先発品に比べて薬代を半額以下に抑えられる場合もあります。「ジェネリックに変えられますか?」と医師や薬剤師に遠慮なく聞いて問題ありません。ただし、処方箋に医師が「変更不可」と指示している場合は、薬局では変更できません。
次に、かかりつけ医を持つことも費用節減につながります。大きな病院(200床以上の病院)に紹介状なしで受診すると「選定療養費」として数千円が別途かかります。症状が安定している場合は、近くのクリニックで継続的に処方してもらう方が費用を抑えやすくなります。また、複数の病院で同じような薬を処方されていないか確認するためにも、お薬手帳を必ず持参しましょう。

