【千葉県立美術館・取材レポート!】印刷博物館の名品コレクションで出会う、美しき印刷の世界

「デザイン」から見る、印刷博物館コレクション

官板実測日本地図『官板実測日本地図』(部分) 開成所 刊 1865〜67年 印刷博物館蔵

日本や西洋を問わず、印刷博物館のコレクションを「デザイン」の観点から紹介しているのも、この展覧会ならではの見どころです。「地図がこんなに美しいとは…」と、思わず感銘してしまうのが、日本初の刊行実測日本地図である『官板実測日本地図』でした。

伊能忠敬は日本で初めて実測によって地図『大日本沿海輿地全図』を作りましたが、『官板実測日本地図』はその小図をもとに、他の地図を参照しながら江戸幕府の開成所から刊行されたものです。測量された海岸線や街道までが、極めて詳細に描かれています。

『甲辰 明治三十七年 暦』 浅井忠 画『甲辰 明治三十七年 暦』 浅井忠 画 凸版印刷合資会社 印刷・発行 1904年 印刷博物館蔵

1904年に凸版印刷が発行した絵暦『甲辰 明治三十七年 暦』も見ておきたい一品です。凸版印刷では同時代に数年間、洋画家に依頼して絵暦を発行し、販促物として配布しましたが、この年の絵を千葉ゆかりの画家、浅井忠が手がけました。浅井は凸版印刷の初代社長、河合辰太郎と深い親交があり、河合の直接の依頼によって作られたと考えられています。

ポスターからデジタルインスタレーションまで、多彩な展示の魅力

中央:『VEUVE AMIOT(ヴーヴ・アミヨ)』 レオネット・カッピエロ 画 デヴァンベ印刷所 印刷 1922年 右:『三越呉服店 此美人』 橋口五葉 画 三間印刷所 印刷 1911年 いずれも印刷博物館蔵中央:『VEUVE AMIOT(ヴーヴ・アミヨ)』 レオネット・カッピエロ 画 デヴァンベ印刷所 印刷 1922年 右:『三越呉服店 此美人』 橋口五葉 画 三間印刷所 印刷 1911年 いずれも印刷博物館蔵

この他ではフランスのスパークリングワインのポスターである『VEUVE AMIOT(ヴーヴ・アミヨ)』や、三越呉服店主催のデザインコンペで入選した橋口五葉の『三越呉服店 此美人』も華やか。日本でも人気のアルフォンス・ミュシャの甘美なポスターなど、お気に入りの一点を探しながら、ゆっくり見ていくのもおすすめです。

体験型展示 デジタルインスタレーション「ページの中を歩く」体験型展示 デジタルインスタレーション「ページの中を歩く」

関連展示では「浅井忠―印刷物とデザインの仕事」と題し、千葉県立美術館のコレクションより、浅井が関わった印刷物やデザインにまつわる作品を紹介しています。さらに体験型展示として「ページの中を歩く」も行われています。

これは書物の一場面を大きなスクリーンに映し出すデジタルインスタレーション。本の世界を巡るような感覚を味わいながら、実物ではなかなか気づきにくい細部や印刷技術の美しさを間近に体感してみてください。

配信元: イロハニアート

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