「風、薫る」第84回(7月23日放送)【振り返り】
第84回では、直美と文の母娘関係がついに「真実を受け止め合う段階」へ進み、長く続いたすれ違いが大きく動いた。同時に、文が直美を捨てた本当の理由も明かされ、これまで積み重ねられてきた伏線が一つずつ回収され始める。家族として過ごす束の間の幸せと、避けられない別れが交錯するなか、直美と文の関係は大きな転換点を迎えた。
【以下、ネタバレ】
りんの言葉に背中を押された直美は、素直な感情と向き合う覚悟を決め、看護師ではなく1人の人間として文と向き合った。「文さんは…胃がんで…おそらく全身に広がっていて。治療はできないと、先日、藤田先生が」。真実を告げると、文は静かに「そう…。ありがとう、教えてくれて。おかげですっきりしました」と受け止め、2人の間に漂っていたわだかまりと緊張の糸がふっと解ける。
ある日、直美、りん、環、そして文の4人で双六を楽しんだ。サイコロを振っては無邪気に笑い合う温かな時間は、運命の悪戯で長年引き裂かれていた母と娘が、ほんの束の間、家族の温もりを分かち合う瞬間となった。文は「あ~楽しかった。なんだか女同志、みんなでお酒でも飲みたくなりました。おしゃれにぶどう酒でも」と微笑んだ。
そして、直美の依頼で文の過去を探っていた寛太により、文が「夕凪」を名乗っていたころの壮絶な半生が明かされる。「直美さんの母親は、一緒に逃げていた男と船に乗って外国に行くつもりだったらしい。だが、男の方は、身重の女をおいて1人船に乗ってドロン」。連れの男に捨てられた文が直美を産み落とすも、わが子を守るため教会へ預けざるを得なかったことを伝えた。
卯三郎も病床の文を見舞った。チョコレートを差し出し、「よく…頑張ってきましたねぇ」と、波乱に満ちた人生を歩んできた文を労った。文は卯三郎に感謝し、1つ頼みごとをした。
切ない真実を抱え、疲れ果てて団子屋の前を歩く直美。そんな彼女を小川吾郎(甲斐翔真)が元気づける。店先で蒸しパンを頬張りながら手を振る小川は、直美の休日を見計らって、一か八かで待っていたという。小川のまっすぐな優しさに触れ、暗かった直美の表情にふっと笑みがこぼれる。口の水分を奪われて慌てる小川に「お茶のんで」と世話を焼きながら、自分のためにただそこにいてくれる小川の存在に、直美は「ありがとうございます…」と感謝を伝えた。小川が「ん? それは自分が言う言葉です」と返すと、直美は「ううん。ありがとうございます」と言ってほほ笑んだ。
ある日の夕方、文の横で転寝をしてしまった直美。目を覚ました文は、直美の頬を触ろうと手を伸ばす。しかし、胸元から覗くお守りに気づくと、手が止まってしまう。気配を感じた直美が目を覚ますと、文は穏やかに笑いながら、「直美さん、1つだけしたいことがあります」と話しかけた。
第85回では、文の頼みごとが、母娘にどのような時間をもたらすのか注目される。
朝ドラ「風、薫る」とは?
大関和と鈴木雅という実在した2人のトレインドナース(正規に訓練された看護師)をモチーフにした朝ドラ。激動の明治時代、まったく違う境遇に生まれ、それぞれ生きづらさを感じていた2人の女性が、未開の看護の道を切り開いていく姿を描く。「あなたのことはそれほど」「病室で念仏を唱えないでください」「くるり~誰が私と恋をした?~」などの連ドラで知られる吉澤智子さんが脚本を書き、Mrs. GREEN APPLEが主題歌「風と町」を歌う。

