●最後まで気にかけていた妻の再審請求の行方
近年、事件当時は小学5年生だった長男がメディアの取材に対応するようになり、健治さんが公の場に出てくる機会は減っていた。2021年6月には長女と孫娘2人が亡くなる不幸もあり、次第に元気も無くなった。
ただ、電話すると、眞須美死刑囚の再審請求のことは常に気にかけており、「再審になったら、わしもまた法廷で証言せんと、あかんのやろか」などと言っていた。

最後に言葉を交わしたのは今年の3月31日。昨年4月、健治さんは肺がんの切除手術を受けていたが、電話口で「3カ月に一度、血液検査と肺のレントゲン検査を受けてるんやけど、何も異常はないみたいや」と明るく話していた。
そしてこの時も「もう28年か、長いなあ。国は眞須美が病気にでもなって、死んでくれたらええのに、と思ってるんちゃうかな」などと言い、眞須美死刑囚のことを気にかけていた。
その後、5月の検査でリンパ節へのがんの転移が見つかって入院。それからわずか1カ月で亡くなったが、あまりに急なことだったので、筆者はどう受け止めていいのか、しばらく思考の整理がつかなかった。
健治さんが人生の最後の瞬間、何を思ったのかはわからない。ただ、妻の再審請求の行方を最後まで見届けられなかったのは心残りだったろうと思う。

