俳優であり、小学生の娘さんがいるママでもある我妻三輪子さん。不思議の国のアリスで有名な「Happy Unbirthday」(なんでもない日おめでとう!)という言葉が大好きな我妻さんが、何気ない日でも愛おしく感じる出来事や気づきを写真とともに綴っていきます。
とあるワンオペの一日
ワンオペの朝、娘と一緒に6時半に起床。ふたりで愛犬のお散歩してから、娘は日課のドリルをする。その間にわたしは朝ごはんを作る。娘のものは、ご飯、トマト、チーズ、ナッツ、バナナ、ミロ。私のものは、娘のご飯をゆで卵に変えたもの。ミロは無し。

食べ終えたら、歯を磨き、植物に水をあげ、髪を結い、日焼け止めを塗り準備完了。
娘が小学校2年生になってから、この後ふたりで1分間の瞑想をするようになりました。映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』を観ていたら、グローグーが修行中にルークと瞑想をしていたので、取り入れてみました。娘にはジェダイになって欲しいので、嫌がるまで続けてみようと思います。
娘を見送り、ひと息つかず筋トレを始める。まだ眠っていた体の中がふつふつと動き始めて、気分が良くなる。気分が良くなったついでに、全部の部屋の窓を開けて、全部の部屋に掃除機をかける。掃除機をかけた後は必ずパロサントを焚く。

パロサントは南米原産の「聖なる木」と呼ばれる香木で、空間の浄化や魔除けとして古くから利用されているもの。儀式のように、魔女になった気分で、毎回焚く。こうゆう類のものは鵜呑みにはしないけれど、そうなったらいいなって淡く期待をしながら利用する。半分は現実、半分は希望。パロサントの入れ物は陶芸教室で作ったもの。
起きてからパロサントを焚くところまでが出来た時、私にとって「完璧な朝」が訪れる。そして、やっと着替える。なんとここまでの一連はパジャマでした(ぺろり)。役作りで体を絞らなきゃいけないので、食べ過ぎ防止で少しきつめのスキニージーンズをはく。
お休みの日のひとり時間
今日はお休みだ。ひとりの、何の予定もないお休みは久しぶりで、わくわくする。今日は肌を休めるためにメイクはしない。
私はずっとひとりの時間が苦手だった。
ひとりだとご飯も食べられなかった。ひとりの時間など一分たりとも必要としなかった。生まれて初めてひとりで外食したのは、一昨年のこと。33歳だった。急に見つけた、表参道の一軒家のお蕎麦屋さん。勇気を振り絞り入店して、泣きそうになりながらかけ蕎麦を注文し、光の速さで完食して店を出た。味はしなかった。でも、とてつもない達成感があった。やった!やってやったぞ!私はやったんだ!交差点でぴょんぴょんと飛び跳ねたいほどだった。
なにせ、そもそも店員さんと喋れなかったのだ。自分の注文を、その場にいる友人に頼むほど喋れなかった。緊張してしまい、口をぱくぱくさせてしまう。
「すみません」と声をかけ、「かけ蕎麦ください」と注文して、運ばれてきたら「ありがとうございます」とお礼して、支払い時には「PayPayで」と指定して、帰り際に「ごちそうさまでした」と伝える。これの難易度の高さたるや。口をぱくぱくさせながらもやり遂げたその日、わたしは世界から拍手喝采を受けたような気持ちになり、それを抱えたまま電車に乗るのは惜しくて、思わず青山一丁目まで歩いた。

さて、ここで今日に戻る。
ひとりのお休みを、わくわくする、と表現出来るようになった私が今日ここにいる。一昨年から修行に修行を重ね、ひとり時間を楽しめるところまで、私は行き着いた。
小学生になった娘、単身赴任がちのオット、数少ない友達、条件はそろっていた。初めは、誰かと一緒にやる方が楽しいけど、一緒じゃないとできないわけじゃない、くらいの感覚で励んでいたが、いまはひとりでも十分楽しくなれることを知っている。
まずはドトールだ。私のオアシス、ドトール。頼むのは決まってカフェインレスのアイス豆乳ラテ、氷少なめ。ゼロカロリーシロップをひとつ入れる。いつもの味が、ひんやりと喉に伝わって来て、安心する。おいしい。自意識過剰な私から、自分を見張る自分が溶けて消えて無くなる瞬間だ。本を開いて、読み始める。今読んでいる本は友人の俳優、佐津川愛美ちゃんの「今日も、自分を生きる練習」(幻冬舎)だ。毎日なるべく活字に触れるように心掛けている。癖がなくなると、本が遠くなってしまうから。


