24日公開された漫画「ちいかわ」初の劇場版アニメ「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ」が、初日興行収入9.9億円を叩き出し、週末動員ランキング初登場1位とロケットスタートを切った。しかし、今SNSで最も話題を集めているのはそのメガヒットぶりだけではない。「後味が湊かなえ」という予想外の感想が爆発的に広がり、なんと作家の湊かなえ氏本人までもが公式インスタグラムで反応する大事態に発展しているのだ。さらに、数量限定の入場者特典を巡る転売騒動と公式の徹底した供給対策など、スクリーンの外でも熱いドラマが繰り広げられている。
異色かつ屈指の人気を誇る長編エピソードを映画化
東宝によると、24日に全国447館(通常382館+IMAX65館)で封切られた本作は、公開初日だけで興収9.9億円を記録。興行通信社が発表した7月24日~26日の週末観客動員数ランキングでも、初日から3日間で動員150万8500人、興収22億4000万円を挙げ、初登場1位を堂々と獲得している。
主人公のちいかわ、ハチワレ、うさぎたちが織りなす「ちいかわ」は、イラストレーター・ナガノ氏によるX発の人気漫画だ。小さくてかわいいキャラクターと、シュールで時にシビアな世界観のギャップが話題を呼び、2022年4月からTVアニメ化された。「日本キャラクター大賞」グランプリを2024年から3年連続で受賞して殿堂入りを果たすなど、いまや幅広い世代から愛される国民的コンテンツとなっている。
今回の映画では、原作漫画でも異色かつ屈指の人気を誇る長編エピソード「セイレーン編」を映像化。ある島に招待されたちいかわたちが繰り広げる冒険を描いた作品で、脚本は原作のナガノ氏自らが務め、アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」シリーズで知られる及川啓監督がメガホンをとった。
SNSを揺るがす「後味が湊かなえ」現象と本人の神対応
映画公開直後から、Xでは鑑賞者による驚きと納得のポストが相次いだ。その中で最も大きな波紋を呼んだのが、読後感の重さを人気ベストセラー作家に例えた「後味が湊かなえ」という表現だった。Xには
「ちいかわの映画は後味が湊かなえ…wなるほど、わかるわw」
「映画ちいかわの感想が湊かなえってを見かけて、とてもしっくり来ている」
「『ちいかわの映画の後味は湊かなえ』って表現、あまりにも的確すぎて膝を打った」
といった共感の声が相次いだ。
2008年、湊氏のデビュー作「告白」は一人娘を教え子に殺害された女性教師の復讐を描き、09年に第6回本屋大賞を受賞。一躍ベストセラー作家となるとともに、「告白」が読後感の悪いミステリーを意味する「イヤミス」というジャンルを世に広めた革命的作品となった。
この予想外の反応は、普段ちいかわに関心がなかった層の興味すらも引きつけている。「ちいかわの映画観に行くつもりなかったんだけど、終わりが湊かなえって見て行くしかないになった」と、世界観を期待して劇場へ足を運ぶ動きも見られる。
そして、この熱狂はついに本人へ届くこととなる。湊氏は26日、自身の公式インスタグラムを更新。JR大阪駅のKITTE大阪に設置された全長5メートルの巨大ちいかわバルーンの画像とともに、「映画『ちいかわ 人魚の島のひみつ』の感想に、『湊かなえ』がいっぱい登場しています 新刊キャンペーンが終わったら、観に行こう」と投稿したのだ。
画像には「『ちいかわ 湊かなえ』検索候補欄でコラボする日が来るなんて」とのコメントが添えられており、この神対応に対してXでは「インスタ見てたら、Twitter民の『ちいかわの映画、後味は湊かなえ』が湊かなえさん本人に届いたみたいで、それに言及されてて笑ったwww」と、さらなる大反響を呼んでいる。
本作の題材となった「セイレーン編」は、原作漫画でも屈指の長編エピソードだが、鑑賞者がただ「面白かった」で終わらせず、誰かと感想を語り合いたくなる圧倒的なストーリー展開こそが、興行的な成功を後押ししているといえそうだ。

