「ヘモグロビンA1cが高くなる原因」はご存じですか?医師が3つの改善法を解説!

「ヘモグロビンA1cが高くなる原因」はご存じですか?医師が3つの改善法を解説!

ヘモグロビンA1cが高くなる原因は?メディカルドック監修医が、HbA1cが高い原因と改善のための食事・運動・生活習慣を解説します。

久高 将太

監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。内分泌代謝・糖尿病内科専門医。

ヘモグロビンA1c(HbA1c)とは?

私たちの血液中には、全身に酸素を運ぶ役割を持つ「ヘモグロビン」という赤血球の中のタンパク質が存在します。食事をして血液中の糖分(血糖)が増えると、このヘモグロビンと糖分がじわじわと結合します。これが「ヘモグロビンA1c(糖化ヘモグロビン)」です。一度糖分と結合したヘモグロビンは、赤血球の寿命(約120日)が尽きるまで元に戻りません。そのため、ヘモグロビンA1cの数値を調べると、検査直前の食事の影響を受けずに、「過去1〜2か月間の血糖値の平均的な状態」を正確に把握することができます。糖尿病の診断や、日頃の血糖管理において極めて重要な指標です。

血液中のヘモグロビンA1cが体に与える影響とリスク

ヘモグロビンA1cが高い状態が続くということは、体の中の血管が常に「砂糖漬け」のようなストレスにさらされていることを意味します。血液中の余分な糖分は、血管の壁にダメージを与え、ドロドロの血液に変えてしまうのです。この状態を放置すると、全身の細い血管や太い血管が徐々に破壊され、深刻な合併症を引き起こすリスクが高まります。微小血管障害(三大合併症)としては、目の網膜が傷ついて失明につながる「糖尿病網膜症」、腎臓のフィルター機能が壊れて人工透析が必要になる「糖尿病腎症」、手足のしびれや痛みを引き起こす「糖尿病神経障害」があります。大血管障害としては、太い血管が硬くなる動脈硬化が進み、脳梗塞や心筋梗塞など命に関わる疾患を引き起こします。ヘモグロビンA1cが高い状態は、自覚症状がほとんどないまま進行するため、「サイレントキラー(静かなる殺人者)」とも呼ばれており、早期の対策が不可欠です。

血糖値が正常でもヘモグロビンA1cが急に上がることはある?

「今回の検査では空腹時血糖値が正常だったのに、ヘモグロビンA1cだけが急に上がっていた」というケースは、臨床現場でも珍しくありません。健康診断で行う通常の血糖値測定は、あくまで「採血したその瞬間」の点のデータに過ぎません。そのため、検査前日に食事を抜いたり、軽めに済ませたりすれば、その瞬間の血糖値は正常範囲内に収まることがあります。しかし、ヘモグロビンA1cは過去1〜2か月間の「線のデータ(蓄積)」です。空腹時の血糖値は正常であるものの、食後の短時間だけ血糖値が跳ね上がっている「食後高血糖(隠れ糖尿病)」や、短期間での急激な体重増加・過度なストレスの蓄積・暴飲暴食などが重なると、数値に正直に反映されます。

血液検査の「ヘモグロビンA1c」の見方と再検査が必要な数値・結果

以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

血液検査の「ヘモグロビンA1c」の基準値と結果の見方

日本糖尿病学会のガイドラインにおいて、ヘモグロビンA1cの数値は以下のように分類されています。基準値(正常域)は4.6%〜5.5%で、血管への負担が少なく健康的な状態です。保健指導対象(糖尿病予備群)は5.6%〜6.4%で、将来的に糖尿病を発症するリスクが高い状態です。特に6.0%〜6.4%の範囲はすでに糖尿病の初期段階に入っている可能性があり、速やかな生活習慣の改善が求められます。糖尿病域(特に危険な数値)は6.5%以上で、何度もこの数値を上回る、あるいは血糖値の基準も満たしている場合、医学的に「糖尿病」と診断されます。8.0%以上はすでに合併症が進行し始めている危険なラインで、さらに10%以上は極度のインスリン不足による急性代謝失調(昏睡など)を起こすリスクがあり、入院加療を検討することもあるレベルです。

血液検査の「ヘモグロビンA1c」の異常値・再検査基準と内容

ヘモグロビンA1cが6.0%以上、あるいは一気に上昇している場合は、速やかに医療機関で精密検査を受ける必要があります。再検査では、空腹時血糖値の測定に加え、「75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)」を多く行います。これは、ブドウ糖液を飲んだ後の血糖値の推移(30分後、1時間後、2時間後)を測定し、インスリンの分泌能力や食後高血糖の有無を詳細に調べる精密検査です。あわせて、「グリコアルブミン」や「1,5-AG」などの血液マーカー、尿検査(尿糖・尿タンパク)も実施します。保険適用の3割負担の場合、一般的な血液・尿検査の組み合わせで約2,000〜4,000円程度です(初診料や再診料、処置料が別途かかります)。一般の内科でも受診可能ですが、より正確な評価と適切な治療計画を立てるためには、「内分泌内科」や「糖尿病内科」といった専門医が在籍する医療機関を選ぶのがベストです。6.0%〜6.9%は放置すると悪化するため1か月以内を目安に、7.0%〜7.9%は合併症のリスクが高まっているため2週間以内に、8.0%以上は速やかな治療開始が望ましいため発見次第数日以内に専門医を受診してください。検査結果に基づき、軽度であれば食事療法・運動療法による生活習慣の修正から始めます。生活改善だけでは目標値(一般的に7.0%未満)に届かない場合は、経口血糖降下薬(飲み薬)による薬物療法、さらにはインスリン注射を組み合わせて治療を行います。

配信元: Medical DOC

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