ヘモグロビンA1cを下げるための改善法は?
高くなってしまったヘモグロビンA1cを下げるためには、根本にある生活習慣を一つずつ見直していくことが、遠回りのようで最も確実な近道です。
ヘモグロビンA1cを下げる食事法はある?
食事療法の基本は、「膵臓を疲れさせないこと(インスリンを無駄遣いしないこと)」です。食事の際は、まず野菜、キノコ類、海藻類などの食物繊維から箸をつけましょう(ベジファースト)。食物繊維が小腸の粘膜をコーティングし、後から入ってくる糖分の吸収を緩やかにするため、食後の血糖値スパイク(急上昇)を効率よく防ぐことができます。白米、パン、麺類などの炭水化物や、甘いお菓子、果物のドカ食いは禁物ですが、極端な「糖質ゼロ」は長続きせず健康被害をもたらすリスクがあるため、主食を適量に減らすにとどめましょう。また、白米を玄米や大麦、白パンを全粒粉パンに変えるだけでも血糖値が上がりにくくなります。スポーツドリンク、ジュース、甘い缶コーヒーなどは血糖値を一気に上げてしまうため、日常の水分補給は水や緑茶、麦茶を徹底してください。「朝食抜き」は昼食時の血糖値を余計に跳ね上げる原因になります。遅い時間の夜食や早食いも避けてください。
ヘモグロビンA1cを下げる有酸素運動や筋トレの取り入れ方
運動を行うと、筋肉を動かすためのエネルギー源として、血液中のブドウ糖がインスリンの手を借りずに細胞内へ直接取り込まれます。これにより、ダイレクトに血糖値を下げる効果が得られます。有酸素運動としては、ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどが効果的です。週に3回以上、1回あたり20〜40分程度を目安に行いましょう。特に、血糖値がピークに達しやすい「食後30分〜1時間後」のタイミングで運動を始めると食後高血糖をきれいに抑え込むことができます。スクワットや腕立て伏せなど筋肉に負荷をかける運動も重要です。体の中で最も大きな筋肉が集まっている「下半身(太ももや大臀筋)」を中心に鍛えることで、基礎代謝が上がりインスリンの効き目が長期的に向上します。週に2〜3回、無理のない範囲でスクワットを取り入れてみてください。
睡眠・ストレス管理を行う
慢性的な睡眠不足やストレス環境は、それだけで血糖値を上げるホルモンを分泌させ、せっかくの食事・運動療法の効果を相殺してしまいます。毎日6〜7時間程度のまとまった睡眠時間を確保できるよう、寝室の環境を整えましょう。就寝直前のスマートフォンやパソコンの画面は、睡眠の質を深く損ねるため控えてください。趣味の時間を持つ、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、軽いストレッチを行うなど、自分なりのリラックス方法を見つけて交感神経の興奮を鎮めましょう。タバコに含まれるニコチンはインスリンの働きを妨げるため禁煙を、過度なアルコール摂取は高血糖を助長するため適量を守り休肝日を設けましょう。生活習慣の改善を数か月続けてもヘモグロビンA1cが下がらない場合、あるいは初診時から数値が非常に高い場合は、医療機関での治療が並行して行われます。専門診療科は糖尿病内科や内分泌内科です。
「ヘモグロビンA1cが高い原因」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「ヘモグロビンA1cが高い原因」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
ヘモグロビンA1cが急に上がる原因は何でしょうか?
久高 将太監修医
ヘモグロビンA1cが短期間で急に上がる背景には、主に2つの側面があります。1つは「著しい生活習慣の乱れ」です。直近1〜2か月の間に、炭水化物や清涼飲料水の摂取量が急増した、仕事の繁忙期で極端な睡眠不足やストレスが続いたといった場合に数値は急激に高くなることがあります。もう1つは「インスリン分泌が著明に低下する病気」の可能性です。「1型糖尿病」や「慢性膵炎」、あるいは「膵臓がん」などの腫瘍によって膵臓の機能が大きく破壊されると、血糖制御機構が破綻してヘモグロビンA1cが急増することがあります。数値の急変動を指摘された場合は、自己判断せずただちに専門医を受診してください。
血液検査でHbA1cの数値がどれくらい高いと糖尿病と診断されますか?
久高 将太監修医
医療機関の血液検査で、ヘモグロビンA1c(HbA1c)が6.5%以上である場合、糖尿病の診断基準を1つ満たすことになります。実際の診断では、これに加えて別の日に測定した「空腹時血糖値が126mg/dL以上」、あるいは「随時血糖値が200mg/dL以上」といった血糖値の基準も満たしていることを確認します。ただし、同じ日の血液検査でヘモグロビンA1cが6.5%以上、かつ血糖値の基準も同時に超えている場合は、その1回だけの検査であっても「糖尿病」と確定診断されます。
ヘモグロビンA1cが高くなってきたらまず何をすればよいですか?
久高 将太監修医
まずは健康診断の結果を持って、一度医療機関(糖尿病内科・内分泌内科)を受診することが最優先です。数値が「予備群(5.6%〜6.4%)」の段階であれば、医師のアドバイスのもとで食事や運動のメニューを組み立てることで、薬を使わずに正常値へ戻せる可能性が非常に高いです。「まだ大丈夫」と放置してしまうことが一番危険ですので、現状の自分の体の正確な評価を医師に仰ぎましょう。
ヘモグロビンA1cを下げるために毎日意識できることはありますか?
久高 将太監修医
最も手軽で毎日続けやすいのは、やはり「ベジファースト(野菜から食べる)」と「食後の軽い散歩」の2つです。毎食、一口目は必ずサラダやスープの具材(野菜・海藻)から口にすること、そして食後30分ほど経ったら、15分から20分程度、家の周りを散歩したり、家事を立ち仕事でこなしたりして体を動かしてください。この小さな積み重ねが、1か月後、2か月後のヘモグロビンA1cの数値を確実に変えていきます。

