ガラスの中に、光と影の物語。ジャン=ピエール・ウェイルの「3Dペインティング」の世界

娘たちとともに——ファミリースタジオという生き方

2010年、スタジオに新しい風が吹き込みます。ジャン=ピエールの娘、ダヴィダとサフィラが制作に加わったのです。

ひとりの画家の営みだったスタジオは、家族で作品を生み出す「ファミリースタジオ」へ。娘たちは新しいアイデアと色彩、そして絵の中の物語への新鮮な感受性をもたらし、作品世界は本質を変えることなく、内側から深まっていきました。

光のあたる場所に飾ると、絵はいっそう豊かな表情を見せる(Jean-Pierre Weill Studios提供)

「家族同士の関係性が、作品に込める気持ちとエネルギーをかたちづくる」——それが彼らのスタジオの信条。作品を家に迎えた人たちのことも「ファミリースタジオのメンバー」と呼び、丁寧なものづくりと誠実な対応を大切にしています。

絵筆のむこうに——「大人のための絵本」作家という顔

ジャン=ピエール・ウェイルにはもうひとつの顔があります。それは作家・思索家としての顔。

2012年に執筆・挿画を手がけた初めての著書『The Well of Being(ウェル・オブ・ビーイング)』は、「大人のための絵本(a children's book for adults)」と銘打たれ、自己認識と人生の捉え方の関係を、短い言葉と幻想的な水彩画で描いた一冊。米国の書評誌カーカス・レビューの「人生を豊かにする2013年ベストインディーズブック」に選出され、のちに大手出版社マクミラン(英国)とフラットアイアン(米国)から刊行されました。精神世界の著述家ラム・ダスや、『EQ こころの知能指数』の著者ダニエル・ゴールマンからも賛辞を寄せられています。

続く第二作『Evolve!』でも、人としての成長と自由への歩みを、やはり絵本のかたちで探求しています。

つながり、ものの見方、視点を変えることで開ける世界——こうした著書のテーマは、ガラスの絵の中にも静かに息づいています。小さな人物のしぐさや、余白のある構図に、どこか哲学的なあたたかさを感じるのはそのためかもしれません。

配信元: イロハニアート

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