「最近、お腹の調子が悪い気がする」「便秘が続いているけれど、食生活がよくないのかな」そんな日々の些細な不調に不安を感じたことはありませんか?こうした変化は大腸がんのサインである可能性があります。厚生労働省「全国がん登録 罹患数・率 報告2021」のデータでは、日本人のがんの中で最も罹患者数が多く、年々右肩上がりで増え続けています。また2024年のデータによれば、部位別死亡数では「大腸」が女性のがんによる死因の第1位です。
ただ、大腸がんは早期に発見して適切な治療を行えば、完治を目指せる病気です 。今回は、大腸がんがある程度大きくなったときに表れる「初発症状」やリスク、そして早期発見の”要”となる検査について、舛森先生に詳しく解説してもらいます。
※2026年5月取材。
※本記事は、2023年3月に『YouTube医療大学』チャンネルで配信された動画内容に基づき、動画配信者である舛森医師の監修を経て構成されています。

監修医師:
舛森 悠(YouTube医療大学)
2019年旭川医科大学卒業後、札幌にて初期研修をおこない、函館稜北病院総合診療科へ。北海道内の3次救急を担う救命救急センターなどを経て、現在は千葉大学大学院 医学薬学府 先進予防医学共同専攻 博士課程にて研究に従事。並行して北海道での地域医療に貢献し、登録者96万人を誇る「YouTube医療大学」を運営。一般社団法人とまりぎケア代表理事、総合診療専門医、新家庭医療専門医、認知症予防専門医、医師会認定産業医。
≫ 【初期症状】94%が助かる!!大腸カメラよりも○○を絶対やって下さい!!【末期の大腸癌 漫画家が話題】大腸がんは今の日本で最も罹患者数が増えている
舛森先生
最近、著名人の大腸がんのニュースが続いています。
ダウンタウンの松本人志さんはがんの切除手術を受けていたことを公表されました。また、作家の東野圭吾さんは68歳で亡くなられました。謹んでお悔やみ申し上げます。
大腸がんは今の日本で最も罹患者数が増えており、あらゆるがんの中で2番目に多い病気です。さらに、年間5万4000人が大腸がんで命を落としています。
このような状況下で私が一番お伝えしたいのは、大腸がんに「初期症状」はない、ということ。血便や便の変化に気づいたときには、すでに進行していることが少なくありません。
だからこそ、症状のない今のこそが検診の受けどきです。「40歳を過ぎたら年に1回、便潜血検査を」――。それが、いちばん確実な備えです。
初期症状は「なし」!? 日本最多の罹患者数・大腸がん
編集部
大腸がんが増えているという話に不安を感じる人も多いと思います。まずは大腸が私たちの体の中でどのような役割を果たしているのか教えてください。
舛森先生
大腸は、食べ物の通り道である消化管の中で、一番お尻に近い部分にあたります。口から摂取した栄養は、食道を通って胃から小腸へと進み、最終的に大腸へと運ばれます。この大腸という太い管の全長は1.5~2mもあるのです。「意外と長い」と感じるのではないでしょうか。
大腸の主な役割は「水分の吸収」です。小腸では主に栄養が吸収されますが、大腸に届いた段階の内容物はまだ水分が多く、便は柔らかい状態です。そこから大腸を進むにつれて水分が吸収され、便が塊になっていきます。大腸は1日に最大6Lもの水分を吸収できる非常に力強い臓器です。
編集部
6Lも吸収するとは驚きです。大腸は具体的にどのような構造に分かれているのでしょうか?
舛森先生
大きく「結腸」と「直腸」に分かれます。肛門に近い部分が直腸で、結腸はさらに細かく分かれています。上に向かう「上行結腸」、横に向かう「横行結腸」、下に向かう「下行結腸」、そして直腸との間でS字に曲がっている「S状結腸」です。これらをすべてまとめて大腸と呼び、どこに腫瘍ができても「大腸がん」となります。最初の「上行結腸の段階ではまだ便が柔らかい」という点は、後でお話しする症状を理解するうえでも重要です。
編集部
便の状態は大腸の部位によって違うのですね。大腸がんには初期症状がないと聞きましたが、本当でしょうか?
舛森先生
そのとおりです。大腸がんに「初期症状」はないことはガイドラインにも明記されています。ですから、今回はがんがある程度大きくなったときに表れる「初発症状」についてお話しします。症状が出てからでも、手術や化学療法で治癒が期待できるケースもあるため、決して希望を捨てずにご一読ください。

