「関節が痛くて病院に行ったら関節リウマチと診断された。治療費はどのくらいかかるのだろう」「生物学的製剤を勧められたが、費用が心配で踏み出せない」といった不安を感じている方は少なくないのではないでしょうか。
関節リウマチは、免疫の異常によって関節に炎症が起き、放置すると関節が破壊されてしまう病気です。長期にわたって治療を続けることが多いため、月々どれくらいの費用がかかるのかを早めに知っておくことは、治療を続けていくうえでも、家計管理のうえでもとても重要です。この記事では、関節リウマチの通院・薬代の費用の目安、生物学的製剤を含む年間費用、そして費用を抑えるために活用できる公的制度について解説します。

監修医師:
佐藤 章子(医師)
川崎市立川崎病院整形外科初期研修医、東京女子医科大学東医療センター整形外科リウマチ科医療練士助教待遇、東京警察病院整形外科シニアレジデント。その後地域中核病院、リウマチ専門クリニックを経て、日本医科大学整形外科リウマチ科助教。その後国立病院勤務。
【研究】
大腿骨近位部不顕性骨折に対する画像診断の検討(神奈川整形災害外科学会論文賞受賞(執筆、指導実施)、関節リウマチ患者に対する人工関節、生物学的製剤などの薬物療法に関する研究、変形性膝関節症に関する研究など
事務長さぽーと株式会社代表取締役
加藤隆之(中小企業診断士・MBA)
関節リウマチの外来通院でかかる費用の目安
関節リウマチと診断された後、多くの方は定期的に内科・リウマチ科・整形外科クリニックや病院を受診します。安定期(症状がコントロールできている時期)の通院では、主に以下の費用がかかります。
■ 再診料・処方箋料・目安(3割負担):約1,000円程度
・頻度の目安:3か月に1回
■ 血液検査(CRP・RF・血算など)
・目安(3割負担):約2,000〜5,000円程度
・頻度の目安:3か月に1回
■ 画像検査(X線・エコー・MRI)
・目安(3割負担):約500〜5,000円程度
・頻度の目安:3〜6か月に1回
■ 内服薬(メトトレキサートなど)
・目安(3割負担):約400〜2,600円/月
・頻度の目安:毎月
■ 合計(薬代含む)
・目安(3割負担):約4,000〜10,000円前後/月
・頻度の目安:-
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
メトトレキサート(MTX)は関節リウマチの治療でもっとも広く使われる基本的な薬で、飲み薬です。3割負担であれば月に数千円程度のことが多く、比較的負担は少なめです。ただし定期的な採血が必要なため、検査費用が継続的にかかる点は覚えておきましょう。
生物学的製剤・JAK阻害薬を使用した場合の費用
メトトレキサートなどの内服薬で十分な効果が得られない場合、次のステップとして生物学的製剤やJAK阻害薬が選択されることがあります。
生物学的製剤とは、体内で炎症を引き起こす特定のたんぱく質(TNF・IL-6など)をピンポイントで抑える薬のことです。たとえるなら、火事の原因となる発火点だけを的確に消火するようなイメージです。効果が高い反面、薬価が高額になります。JAK阻害薬も同様の考え方で開発された飲み薬です。
■ 生物学的製剤(注射・点滴)・3割負担(月額):約16,000〜93,000円
・3割負担(年額):約192,000〜1,116,000円
■ JAK阻害薬(飲み薬)
・3割負担(月額):約37,000〜43,000円
・3割負担(年額):約440,000〜516,000円
■ バイオシミラー(後発品)
・3割負担(月額):約14,000〜70,000円
・3割負担(年額):約168,000〜840,000円
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
バイオシミラーとは、生物学的製剤の後発品のことです。先発品と同等の有効成分で同等の効果が得られながら、薬価がかなり安くなるものもあります。主治医と相談のうえ、バイオシミラーへの切り替えを検討することも選択肢の一つです。
これらの費用に、前述の診察料・検査費を合わせると、生物学的製剤使用中の場合、3割負担で年間20〜80万円以上の自己負担になることもあります。ただし、後述する高額療養費制度を利用すると、実際の支出は大きく抑えられます。

