お悩み②ゲームや遊びを自由研究にしてもいい?
ーー子どもの興味があるものからテーマを立てようと思っても、「好きなもの? スマホゲーム」「広島カープしか興味ない!」と言われるとどうしていいかわかりません。出沢さんのように、「セミが好き!」なら自由研究と結びついて良いと思うのですが……。
出沢 本当にいいのですか? 私はセミを捕まえすぎて、母親にあきれられていましたよ。夜には逃がしてあげるのですが、昼間は捕まえたセミを家の網戸につけていて、数十匹が同時に網戸についていることもよくありました。
ーーえーーーー!
出沢 セミは窓際やカーテンの裏などに集まっていることが多くて、人がいなくなると鳴き出すので、家のあちこちからセミの声が聞こえていましたね。天井を歩き回るセミもいて、夏は賑やかな家でしたねえ。
ーー楽しいおうちですね(笑)。

撮影中も「通常はもっと上のほうに止まっています」とセミの生態を絶え間なく教えてくれた
出沢 おっしゃるとおり、セミ=自然科学、というイメージで自由研究のテーマにしやすい印象がありますが、テーマは自然科学に限らず社会的なことでもいいんですよね。
記録して、比べて、自分なりに考えることができれば、自由研究の題材になります。社会に役立つか、ではなく、子どもたちの興味関心に基づいてできることが、自由研究のいいところです。
たとえばセミなら、「どこでどれくらい捕れた」を記録してまとめること自体が学びですが、好きな野球チームでも同じことができるんです。たとえば、「今日は試合に負けたけど、どうして勝てないんだろう。そもそもどういうときに勝っているんだろう」といったところを分析するために、日々の試合を詳しく記録していく。そうすると、得点の取り方や失点の傾向など、違いが見えてくるかもしれません。
ーーセミと同じように、記録・分析していくんですね。
出沢 スマホゲームも「それをテーマにしていいよ」とはなかなか言えませんが、「ただ遊ぶ」のではなく、どんなときに勝てたのか、どんな条件だと上手くいくのかを記録して考えると、それはもう探究活動なんです。
たとえば私は寝るのが好きなんですが、寝た時刻や起きた時刻、その日の過ごし方を記録してみて、「よく眠れた日はそうでない日と比べて何が違ったんだろう」と分析してみるのも面白いかもしれません。
このように、自分の興味から出たあらゆることが、立派な研究のプロセスになっていくんですね。
回答:「この分野を研究してもしょうがないよね」などと決めつけず、記録・分析をして研究の形にできないかを子どもと一緒に考えてみる!
お悩み③定番ネタ「◯◯の観察」は他の子とかぶる?
ーー定番の「朝顔の観察」「ダンゴムシの観察」などをテーマにした場合、他の子とかぶってしまいがちです。単に観察するだけではなく独自性を持たせるには、どうすればよいでしょうか。
出沢 そもそも自由研究に新規性を持たせたり珍しいテーマを見つけたりするのは、結構難しいと思います。前提として、それぞれの子どもたちの視点で観察して考察・研究するという点が大切です。
観察をスタートするときに、親や先生が「ここを観察しようね」と言ってしまうとそこしか見なかったりするので、まずは子どもが何に目を向けるのか、見守ってみるのがおすすめです。もちろん、ずっとただ見守っているだけというわけではなく、「メモを取ろう」など必要に応じた声かけはしてあげた方がいいのですが、親の誘導ではなく子ども自身の視点で得た何気ない気づきをしっかり記録することが大切だと思います。記録しておくことにより、そこから考察が広がったり、疑問が生まれて次の年のテーマになるかもしれません。

ーー出沢さんがセミを7年追い続けたように、今年限りで終わるのではなく翌年にも生かせるようにするといいのですね。
出沢 観察というのは、やっていく中で自分の視点が必ず生まれるものです。いきなりテーマで差別化を図ろうとするのではなく、定番のテーマでも、全員が同じプロセス・結果になることはないと思います。
ーーしかし低学年のうちは特に、観察の過程で気づいたことを逃さずメモするのも難しかったりしますよね。
出沢 そうですね。ですから、親も一緒に観ることが大事かなと思います。その際、親は「これに気づいてほしい……」といった意図で誘導しがちなので、そこは注意が必要です。私も元々教員をやっていたので、子どもを誘導したいところに意識を向けてしまうことがあったのですが、そうではなくて、あくまで寄り添う姿勢が大切です。
親は子どもより多くの知識を持ってはいますが、全部を知っているわけではないと思うので、一緒にその研究をするつもりで、同じ目線で取り組んでみると、お子さんの気づきのアシストに繋がることもあるかもしれません。
ーー出沢さんは教員時代に理科を担当されていたのですか?
出沢 はい。それこそ授業や部活で、探究活動を行っていました。部活動では、森林公園に行き自動撮影カメラを設置して、鹿やイノシシがどこでどの時間帯に映るのかを調べたりしていましたね。
やっぱり、最初はどのようなところに・どれくらいいるのかわからないので、そこを調べた上で、次の問いに進みます。生き物の研究では、とりあえず実際の場所に行って観察することが次の問いにつながります。
回答:一緒に取り組むと、子どもの視点も見えるし親自身の気づきもある!
