●架空の児童であれば「児童ポルノとされることはない」
──仮に実在する児童の写真を一切使わず、完全に架空の児童をAI生成した画像だった場合はどうでしょうか。
検察庁も「実在しない児童を描写したポルノについては、2条第3項にいう『児童ポルノ』に該当しないとされており」と説明しています。
そのうえで日本は、サイバー犯罪に関する条約9条の「2b 性的にあからさまな行為を行う未成年者であると外見上認められる者」「2c 性的にあからさまな行為を行う未成年者を表現する写実的影像」を留保していますので(※1)、現行法の児童ポルノとされることはないでしょう。
●「無理な解釈ではなく、新規の立法を」
──生成AIによる性的画像の被害に対して、現行法はどこまで対応できているのでしょうか。今後、どのような対応が必要だと考えますか。
生成AIによる性的画像の問題は、児童に限ったものではありません。従来は、わいせつ物の罪(刑法175条)、名誉毀損罪(刑法230条)、児童ポルノ法、著作権法などで対応されてきましたが、対応しきれていないのが現状です。
そのため諸外国では、これを新規に規制する法律が検討・制定されているようです。
たとえば韓国では、本人の意思に反して性的欲望を誘発する形に映像を編集・合成・加工したり、それを流布したりする行為が処罰の対象とされ、対象者が児童の場合には刑が加重されるようです(※2)。
日本においても、児童ポルノ法の無理な解釈で対応しようとするのではなく、新規の立法をしっかりと検討すべきだと思います。
(※1)島戸純「『児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律』について」警察学論集57巻8号
(※2)「性暴力犯罪の処罰等に関する特例法」「児童・青少年の性保護に関する法律」、外国の立法 No.302-1(2025.1)
【取材協力弁護士】
奥村 徹(おくむら・とおる)弁護士
大阪弁護士会。大阪弁護士会刑事弁護委員。日本刑法学会、法とコンピューター学会、情報ネットワーク法学会、安心ネットづくり促進協議会特別会員。
事務所名:奥村&田中法律事務所
事務所URL:https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/

