知っておきたい公的制度
■ 自立支援医療制度(精神通院医療)(じりつしえんいりょうせいど せいしんつういんいりょう)
精神疾患の治療のために継続的な通院が必要な方を対象に、精神疾患にかかる診察や薬などの医療費の自己負担を3割から1割に軽減する制度です。パニック障害は対象疾患に含まれます。さらに、世帯の市民税課税額に応じて1か月あたりの自己負担に上限額が設定されており、上限を超えた費用は免除されます。世帯の所得区分に応じて月の自己負担上限額が設定されています(例:低所得2の方は5,000円、中間所得層1の方は5,000円、中間所得層2の方は10,000円など)。申請は、お住まいの市区町村の障害福祉課または保健福祉課の窓口で行ってください。主治医の診断書(意見書)が必要になります。
■ 高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)
ひと月の医療費(保険適用分)が一定額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。パニック障害の外来通院だけで上限額に達することは稀ですが、同じ月に他のケガや病気の治療費(入院や手術など)が重なり、合算して上限を超えた場合などに活用できます。 70歳未満・一般所得(年収約370〜770万円)の方の場合、1か月の自己負担限度額は「80,100円+(医療費−267,000円)×1%」で計算されます。
マイナンバーカード(マイナ保険証)でオンライン資格確認をすると自動で自己負担限度額が適用されるため、高額療養費の申請は原則不要で、窓口での支払いが自己負担限度額までに抑えられます。
ただし、資格確認証を使用している場合は「限度額適用認定証」の取得申請が必要となります。事前に「限度額適用認定証」を取得して医療機関に提示しておくと、医療機関の窓口での支払いを最初から限度額にとどめることができます。申請窓口は、会社員の方は勤務先の健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)、自営業・無職の方は居住地の市区町村窓口です。
なお、高額療養費制度の自己負担上限額は、2026年8月から段階的に引き上げられる予定です。最新の上限額は加入先の窓口などで確認しておくと安心です。
■ 傷病手当金(しょうびょうてあてきん)
パニック障害により仕事を休まざるを得なくなった場合、会社員・公務員の方(健康保険の被保険者)は傷病手当金を受け取ることができます。連続した3日間を含む4日以上仕事を休んだ場合に、4日目以降の休業日に対して「標準報酬日額の3分の2」が最長1年6か月間支給されます。たとえば月給30万円の方であれば、1日あたり約6,667円が支給される計算です。申請は勤務先の担当者を通じて行い、主治医の就労不能に関する証明が必要です。なお、自立支援医療制度はあくまで治療費の軽減制度のため、傷病手当金と併用して利用できます。
■ 医療費控除(いりょうひこうじょ)
年間(1月〜12月)の医療費が10万円(または総所得金額等の5%)を超えた場合、確定申告で所得控除を受けられます。カウンセリング費用は保険外(自費)であっても、医療機関において医師の指示に基づき行われたものであれば、医療費控除の対象になる場合があります(民間のカウンセリング施設で受けたものは原則対象外です)。領収書を保管しておきましょう。申請は翌年の確定申告期間(2月16日〜3月15日)に税務署または電子申告(e-Tax)で行ってください。
編集部まとめ
パニック障害の安定期における月々の治療費は、3割負担で4,000〜6,000円程度が目安ですが、自立支援医療制度を利用することで1,500〜2,000円程度まで抑えることができます。費用は治療段階と利用する制度によって大きく変わります。
安定期の通院(月1〜2回)は、診察料+薬代で3割負担なら月4,000〜6,000円程度が目安
SSRI(抗うつ薬)を長期服用することが多いが、ジェネリック医薬品の活用で薬代を抑えられる
認知行動療法は保険適用で受けられる(1回1,260円〜、16回まで)
自立支援医療制度(精神通院医療)を利用すると、自己負担が1割に軽減される
費用面の不安は、医療ソーシャルワーカーへの相談で解決できることがある
パニック障害と診断されたら、主治医や医療ソーシャルワーカーに早めに費用や制度について確認することが大切です。費用の見通しが立つだけでも、治療は続けやすくなります。自立支援医療制度の申請や傷病手当金の手続きなど、わからないことは担当の医療機関のスタッフや市区町村の窓口に遠慮なく相談してみましょう。一人で抱え込まず、使える制度をうまく活用しながら、無理なく治療を続けていきましょう。
※本記事の情報は2026年7月時点のものです。医療費や制度の内容は変更になる場合があります。実際の費用・手続きについては、医療機関または各行政窓口にてご確認ください。

