「統合失調症と診断されたが、これからどれくらい医療費がかかるのだろう」「薬を飲み続けながら、家計を維持できるのだろうか」といった不安を感じている方は少なくないのではないでしょうか。
統合失調症は、適切な薬物療法と外来通院を続けることで安定した生活を送れることが多い病気ですが、長期にわたることが多いため、月々の治療費を早めに知っておくことは、治療を続けていくうえでも、家計管理のうえでもとても重要です。
この記事では、外来通院・安定期における診察費・薬代の目安、費用を大きく抑えられる公的支援制度、そして万が一入院が必要になった場合の費用について解説します。

監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
事務長さぽーと株式会社代表取締役
加藤隆之(中小企業診断士・MBA)
1. 安定期の外来通院でかかる費用の目安
統合失調症の安定期(維持期)は、精神科や心療内科に月1〜2回通院しながら抗精神病薬を継続服用するのが基本的な治療スタイルです。
通常の健康保険3割負担と、後述する「自立支援医療(精神通院)」を利用した場合の費用を比較すると、以下のとおりです。
■ 精神科・診察料(月2回)・保険適用3割負担:約3,000〜4,000円程度
・自立支援医療(1割):約1,000〜1,500円程度
・備考:再診料+通院精神療法など
■ 抗精神病薬(月額)
・保険適用3割負担:約1,000〜10,000円程度
・自立支援医療(1割):約400〜3,500円
・備考:薬の種類・用量による
■ デイケア・作業療法(月4回)
・保険適用3割負担:約4,500〜12,000円程度
・自立支援医療(1割):約1,300〜2,000円
・備考:利用する場合
■ 合計目安(月額)
・保険適用3割負担:約4,000〜18,000円程度
・自立支援医療(1割):約1,500〜6,000円程度
・備考:個人差あり
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
たとえば健康保険の3割負担で月1万5,000円の医療費がかかっていたとしても、自立支援医療を利用すれば1割負担の約5,000円になります。さらに所得に応じた月額上限(最大2万円)が設けられているため、高額になりすぎる心配も少なくなります。
2. 抗精神病薬の種類と薬代の違い
統合失調症の治療で最も費用に影響するのが抗精神病薬です。薬の種類・投与形態によって月額の薬代は大きく異なります。自立支援医療の1割負担を前提にした目安を示します。
■ 第一世代(定型)・主な投与形態:内服薬
・月額薬代目安(1割):約100〜1,100円程度
・特徴:クロルプロマジン・ハロペリドールなど。後発品が多く安価
■ 第二世代(非定型)内服
・主な投与形態:内服薬
・月額薬代目安(1割):約150〜4,500円程度
・特徴:リスペリドン・オランザピン・アリピプラゾールなど。
■ 持効性注射剤(LAI)
・主な投与形態:注射(4週に1回)
・月額薬代目安(1割):5,000〜17,000円
・特徴:飲み忘れがない。パリペリドンパルミタートなど。注射のたびに受診
■ クロザピン
・主な投与形態:内服薬(要登録)
・月額薬代目安(1割):1,400〜17,000円
・特徴:治療抵抗性統合失調症に使用。定期的な血液検査が必要
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
第二世代(非定型)の薬剤は錐体外路症状が比較的少ない一方、体重増加・糖代謝異常・脂質異常・眠気・便秘・高プロラクチン血症などに注意が必要な場合があります。
後発医薬品(ジェネリック)が利用できる薬は、先発品と同じ有効成分で同等の効果が期待でき、薬代をある程度抑えられます。主治医や薬剤師に「後発品に切り替えられますか」と相談してみることをおすすめします。
また持効性注射剤(LAI)は「飲み忘れの心配がない」というメリットがある一方、注射のたびに受診が必要です。生活スタイルに合わせて主治医と相談しながら選択することが大切です。

