客室にテレビはなし。全19室、すべてに温泉露天風呂
KAIKAの客室は全19室で、スイート・トリプル・ツイン・ダブルの4タイプ。すべての客室に温泉の露天風呂が備えられており、プライベート感を重視した設計で、静かに自分自身と向き合い、心身を休めるには絶好の空間です。
そして、印象的なのは客室にテレビが置かれていないことです。譲原氏によれば、これは一人の時間や会話を楽しんでほしいという思いからきているとのこと。ニュースやSNSから距離を置き、同行者との対話や、静けさそのものと向き合う時間を過ごしてほしいという意図が伝わってきました。かわりに、客室にはKAIKAオリジナルのリラクゼーションミュージックが3曲用意されていて、さりげなく流しておくだけで部屋の空気がふっと和らぎます。

実際に部屋で過ごしてみると、テレビをつける習慣がないだけで、思いのほか時間の流れ方が変わることに気づきます。何より贅沢だったのが、いつでも入れる客室露天風呂の存在です。チェックイン後に、夕食後に、朝起きてすぐに、そして朝食を終えたあとにもう一度と、一日の中で何度もお湯に浸かりたくなる環境が整っていました。都会での暮らしでは意識的に手放さないと得られない「何もしない時間」が、ここでは自然と、しかも何度でも手に入るように感じました。

ミシュラン料理人監修の茶懐石を、朝も夜も。レストラン「水(SUI)」

食事を担うのはレストラン「水(SUI)」。ミシュランの名店で腕を振るってきた料理人が監修する茶懐石で、地元の旬の食材を一皿ずつ丁寧に仕立て、出汁の効いた優しい味わいで、少しずつ感性がひらいていくような構成になっています。お酒のラインナップも充実していて、神奈川県内の蔵元による地酒をはじめ、ワインやビール、さらには入手が難しい銘柄の限定酒まで幅広く揃っています。夜はお酒を楽しむ方が多いこともあり、堅苦しさを抑えた、リラックスした雰囲気での案内がされていました。


一方、朝食は伝統的な「朝茶懐石」の形式。土鍋で炊き上げた白米と、季節のおかずを詰め込んだ二段重が並びます。器の扱いにも決まりごとがあり、漆塗りの椀に盛られた汁物を、まずは一口か二口ほどで食べきれる量だけいただいてから、あらためて汁に箸をつける、という順序が守られているのだそうです。

夜はお酒を楽しむための自由な時間、朝はこうした決まりごとを大切にする時間。譲原氏は、こうして朝と夜でスタイルを変えて案内することで、茶懐石という文化そのものを広めていきたいと話していました。
総支配人の亀山透氏によれば、料理は春夏秋冬で内容を変えていく予定で、取材時にいただいたのは夏のメニュー。9月以降は秋のメニューに切り替わるといいます。食材は近隣のものを極力使用する方針とのことですが、完全な地産地消というわけではなく、良いものは良いものとして仕入れるという柔軟さもあるようです。実際に、但馬牛の最高ブランドとされる「但馬玄」を、たまたまのご縁で仕入れることができ、提供していたと聞きました。前菜など周りに添えるものは地のものを中心にしつつ、主役となる食材にはこだわりを持って選んでいるとのことです。
