コルチゾール値が高いと顔にどのような特徴が現れる?

慢性的にコルチゾール値が高くなると、体格や肌質、そして「顔」の形に非常に特徴的な変化が現れるようになります。これらは内分泌代謝科の医師が診察室で最も注目する身体的サインです。
満月様顔貌(ムーンフェイス)
コルチゾール値が高いときに見られる、最も代表的な特徴が「満月様顔貌」、いわゆる「ムーンフェイス」です。コルチゾールには脂肪の沈着を促す作用がありますが、なぜか手足の脂肪は落ちて細くなる一方で、顔や体幹(お腹まわりや背中)にばかり脂肪が異常に蓄積するという特異な性質があります。顔全体が満月のように丸く腫れぼったくなり、フェイスラインが大きく変化します。
顔面の紅潮(顔が赤くなる)
顔の皮膚、特に両頬のあたりが常に赤みを帯びた状態(皮膚紅潮)になります。これは、コルチゾールによって血管の壁が脆くなるとともに、皮膚そのものが薄くなることで、皮下の毛細血管が透けて見えやすくなるために起こる現象です。
多毛(ひげや産毛の増加)
副腎皮質からコルチゾールが過剰分泌される際、同時に微量のアンドロゲン(男性ホルモン)も一緒に過剰分泌されることが多くあります。そのため、女性であっても口のまわりに濃いひげが生えてきたり、顔全体の産毛が濃くなったりする症状が現れます。
皮膚の菲薄化とニキビ(痤瘡)の多発
コルチゾールにはタンパク質を分解する作用があるため、皮膚のハリを保つコラーゲン繊維が破壊され、顔の皮膚が紙のように非常に薄く、デリケートになります。また、脂質代謝の異常や免疫低下によって、顔全体に治りにくい頑固なニキビ(ステロイド痤瘡)が多発するようになります。
中心性肥満に伴う二重あごや野牛肩
顔の下部に脂肪が溜まることで、太っていない人でも強い「二重あご」になります。また、顔のすぐ下にある首の付け根から背中にかけても脂肪がこんもりと盛り上がる「野牛肩(バッファロー・ハンプ)」と呼ばれる特徴的な体型を伴うことが多く、これらが合わさることで顔全体の印象が大きく変化します。
コルチゾール値が高いと現れる症状

顔の変化以外にも、全身の組織でタンパク質や脂質の代謝が阻害されるため、日常生活を脅かす様々な身体症状が顕著に現れ始めます。
筋力の低下(特に太ももや肩まわり)
筋肉のタンパク質がどんどん分解されてエネルギーとして消費されてしまうため、筋肉量が著しく減少(筋萎縮)します。特に太ももや二の腕などの体に近い太い筋肉が衰えるため、「階段を上るのがつらい」「椅子から立ち上がるのがきつい」といった自律的な運動機能の低下が目立つようになります。手足は細くなるのに、お腹だけがぽっこり出る「中心性肥満」も特徴です。
皮膚の紫色の線(皮膚線条)
お腹や太もも、脇の下などの皮膚が引っ張られる場所に、赤紫色を帯びた稲妻のような太い線(赤色皮膚線条)が現れます。これは、皮膚のコラーゲンが枯渇して薄くなっているところに脂肪が蓄積して皮膚が急激に引き伸ばされ、真皮の毛細血管が裂けて透けて見えるために起こる、コルチゾール過剰に極めて特異的な症状です。
骨粗鬆症と骨折のリスク上昇
骨を作る力が極端に低下し、骨からカルシウムが溶け出しやすくなるため、骨密度が同年代と比べて著しく低下します。転んだわけでもないのに背骨が潰れる「いつの間にか骨折(圧迫骨折)」を起こしたり、軽い衝撃で骨折しやすくなったりします。
むくみ(浮腫)と高血圧
コルチゾールが持つ水分・ナトリウムを体内に溜め込む作用が過剰に働くため、顔だけでなく足のスネなどがパンパンにむくむようになります。これに伴い、血管を流れる血液の量が増え、血管自体も収縮するため、頑固な高血圧が持続します。
月経異常(女性の場合)
ホルモンのバランスが根本から崩れてしまうため、女性の場合は月経不順(生理周期の乱れ)や、完全に生理が止まってしまう無月経を引き起こします。

