「コルチゾール値」が高いと「顔」にどのような特徴が現れる?医師が徹底解説!

「コルチゾール値」が高いと「顔」にどのような特徴が現れる?医師が徹底解説!

コルチゾール値が高くなるとどんな病気になりやすい?

コルチゾール値が高くなるとどんな病気になりやすい?

健康診断や血液検査、あるいは上述した特徴的な「顔や体型の変化」からコルチゾール過剰が疑われる場合、背景にある重大な疾患を突き止める必要があります。

クッシング病 / クッシング症候群

これらは副腎からコルチゾールが自律的に過剰分泌されてしまう病気の総称です。脳の下垂体にできた腫瘍が原因で副腎を刺激しすぎるものを「クッシング病」、副腎そのものにできた腫瘍(多くは良性腺腫)が原因のものを「副腎性クッシング症候群」と呼びます。ムーンフェイスや中心性肥満、高血圧、糖尿病などのすべての症状の根源となる病気です。

治療は、原因となっている下垂体や副腎の腫瘍を外科手術によって摘出することが第一選択となります。ただし、手術が難しい場合や、手術後も数値が下がらない場合は、コルチゾールの合成を抑えるお薬(メチラポンなど)による薬物療法や、放射線治療が行われます。

短期間(数ヶ月〜1年程度)で顔が明らかに丸くなり、お腹まわりだけが太ってきた、皮膚に紫色の線ができた、血圧や血糖値が急激に悪化したという場合は、一刻も早い受診が必要です。内分泌内科、または代謝内科を受診してください。手術が必要な場合は、脳神経外科や泌尿器科と連携して治療を行います。

糖尿病(続発性糖尿病)

続発性糖尿病とは、コルチゾール過剰によってインスリンの働きがブロックされ、肝臓からの糖の放出が増えることで発症する糖尿病です。通常の生活習慣病としての2型糖尿病とは異なり、原因(コルチゾール過剰)がはっきりしているため、続発性糖尿病と呼ばれます。

治療で重要なのは、おおもとであるコルチゾール値を下げること(腫瘍の摘出など)です。並行して、血糖値をコントロールするためにインスリン注射や経口血糖降下薬を用いた厳格な薬物療法を行います。

喉の異常な渇き、尿の回数の増加、急激な視力低下、あるいは血液検査で空腹時血糖値やヘモグロビンA1cの異常を指摘された場合には、医療機関への受診が必要です。糖尿病内科、または内分泌内科を受診してください。

医原性クッシング症候群

医原性クッシング症候群とは、関節リウマチや膠原病、重症の喘息、腎炎などの治療のために、医療用ステロイド薬(プレドニゾロンなど)を長期間、高線量で内服または注射し続けることで、体内のステロイド濃度が高くなりすぎて発症する状態です。病気ではなく、治療の副反応としてクッシング症候群と同じ症状(ムーンフェイスなど)が現れます。

治療は、原因となっているステロイド薬を、主疾患の状況を見極めながら、医師の厳密な管理のもとで少しずつ減量していくことです。絶対に自己判断で薬を急に中止しないでください。副腎の機能が萎縮しているため、急にやめると命に関わる「副腎不全(ステロイド離脱症候群)」を起こしてしまうからです。

ステロイド治療中で、顔の腫れや筋力低下、気分の激しい変動など、副作用がつらいと感じたときはすぐに主治医に相談してください。

コルチゾール値を上手にコントロールする方法

コルチゾール値を上手にコントロールする方法

腫瘍などの明確な病気がないにもかかわらず、日々のストレスによってコルチゾールが高止まりしている(予備群)状態であれば、生活習慣を整えることで数値を健全なレベルにコントロールすることが可能です。

質の高い睡眠のリズムを整える

コルチゾールの「朝高く、夜低い」という美しい日内変動リズムを守るためには、毎日の睡眠が不可欠です。夜更かしや睡眠不足は、本来下がるべき夜間のコルチゾール値を上昇させ、翌朝のリズムを狂わせます。毎日7時間前後の十分な睡眠時間を確保し、就寝前のスマートフォン(ブルーライト)を控えて脳をリラックスモードに切り替えましょう。

定期的な有酸素運動の実施

ウォーキングや水泳、サイクリングなどの軽めの有酸素運動は、自律神経のバランスを整え、慢性的なストレスを解消してコルチゾール値を下げる効果があります。ただし、「過度で激しすぎる筋トレや長距離ランニング」は、体が強烈な肉体的ストレスと判断して逆にコルチゾールを一気に上昇させてしまうため、心地よいと感じる程度の「中強度の運動」を週に3〜4回、30分程度行うのがベストです。

ビタミンC・Eやマグネシウムの摂取

副腎がコルチゾールを合成・分泌する際、体内では大量の「ビタミンC」が消費されます。そのため、ストレスが多い人はビタミンCが枯渇しがちです。日頃からブロッコリーやキウイ、イチゴなどのビタミンC豊富な食材を積極的に摂りましょう。また、抗酸化作用のあるビタミンEや、神経の興奮を鎮めるマグネシウム(海藻類やナッツ類に豊富)の摂取も副腎のケアに有効です。

マインドフルネスや趣味によるストレス緩和

精神的なストレスを脳が感知すると、ダイレクトに副腎へ命令が飛びます。1日に5分でも、静かに深呼吸をする時間(マインドフルネス瞑想)を設けたり、自然の中に身を置いたり、自分が心地よいと感じる趣味に没頭することで、脳からの「ストレス警報」を止め、コルチゾールの過剰分泌をストップさせることができます。

カフェイン・アルコールの過剰摂取を控える

コーヒーやエナジードリンクに含まれる高濃度のカフェインは、中枢神経を刺激して副腎を緊張させ、コルチゾールの分泌をダイレクトに促してしまいます。また、過度な飲酒も睡眠の質を下げ、体に肉体的ストレスを与えるため数値を高める原因になります。コーヒーは1日2〜3杯に留め、夕方以降の摂取は控えましょう。

「コルチゾールと顔」についてよくある質問

「コルチゾールと顔」についてよくある質問

ここまでコルチゾールと顔について紹介しました。ここでは「コルチゾールと顔」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

コルチゾール値が増えると肌トラブルを抱えやすくなりますか?

久高将太(医師)

はい、非常に抱えやすくなります。コルチゾールが過剰になると、皮膚の主成分であるコラーゲンなどのタンパク質が分解されてしまうため、肌のバリア機能が低下し、水分を保てなくなって極度の乾燥肌やシワ、たるみを引き起こします。
さらに、コルチゾールは皮脂の分泌を促進する作用も持っているため、薄く弱くなった皮膚の表面に過剰な皮脂が詰まり、赤く腫れ上がる「ニキビ(ステロイド痤瘡)」が顔や背中に多発しやすくなります。加えて、免疫力が下がっているため肌の常在菌バランスが崩れ、一度できたニキビや傷が非常に治りにくくなるという悪循環に陥ります。化粧品を変えても一向に改善しない頑固な肌荒れや、顔全体の不自然な赤みがある場合は、体内のコルチゾール値の異常を疑ってみる必要があります。

まとめ顔や体型の変化に気づいたら「太っただけ」と片付けず専門医に相談しましょう

コルチゾールは、私たちが日々のストレス社会を生き抜くために絶対に欠かすことのできない「命の守り神」のようなホルモンです。しかし、心身のキャパシティを超える慢性的なストレスに晒され続けたり、副腎や脳に疾患が隠れていたりしてコルチゾール値が高い状態が固定化すると、それは「満月様顔貌(ムーンフェイス)」や顔面の紅潮、ニキビの多発といった、顕著な顔・体型の変化としてシグナルを発し始めます。

もし、ご自身の顔の変化や、それに伴う筋力低下、高血圧、強い倦怠感などに心当たりがある場合は、「ただの疲れ」や「年齢のせい」「太っただけ」と片付けず、内分泌代謝の専門医に相談してください。血液検査や尿検査でコルチゾールの状態を正確に調べることで、隠れた病気の早期発見や、適切な体調コントロールへの道が開けます。体からのサインを優しく受け止め、適切なケアを行っていきましょう。

「コルチゾール」と関連する病気

「コルチゾール」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

内分泌・代謝系疾患

クッシング病

クッシング症候群(副腎腺腫など)

アジソン病(慢性副腎皮質機能低下症)


全身性・代謝性疾患

続発性糖尿病

コルチゾールは高すぎても(クッシング症候群)、逆に少ない人(アジソン病)であっても生命に関わる重大な症状を引き起こすため、適正な範囲に保つことが極めて重要です。

「コルチゾール」と関連する症状

「コルチゾール」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

顔が丸くなる(満月様顔貌)

お腹だけが太る(中心性肥満)

皮膚に紫色の線ができる(赤色皮膚線条)

階段を上るのがきつい(近位筋筋力低下)

理由のない強い不安感や不眠

顔のむくみや体型の変化に加えて、急な筋力の衰えを感じた場合は、副腎ホルモンのバランスが崩れている可能性があります。

参考文献

クッシング病・症候群|日本内分泌学会

クッシング病(指定難病75)|難病情報センター

Diagnosis of Cushing’s Syndrome: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline|J Clin Endocrinol Metab

配信元: Medical DOC

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