絵の中に生き続ける王女
ディエゴ・ベラスケス『ピンクのドレスを着たマルガリータ・テレサ』, Public domain, via Wikimedia Commons.
何世代にもわたる血族結婚の繰り返しは、マルガリータ・テレサにも儚い運命を課すことになりました。
当時は現代より寿命が短く、幼児の死亡率も高い時代でした。ひとりでも多くの子孫を残すために、10代の女性が出産することは珍しくありませんでした。
マルガリータ・テレサも、この時代の多くの女性たちと同じように16歳で最初の子を出産します。この子は男の子でしたが、生後1年も経たないうちに夭折しました。
続いて、18歳で女の子を、19歳でふたたび男の子を出産しました。女の子(マリア・アントニア)は成人するまで生き延びましたが、男の子の方は死産でした。
その2年後、4人目の子を産む際に母子ともに命を落とし、マルガリータ・テレサは21年の短すぎる生涯を終えたのでした。若すぎる年齢で短期間に出産を繰り返したことは、彼女の身体に大きな負担をもたらしたことでしょう。
まとめ
ベラスケスによって描かれた『ラス・メニーナス』。そして、彼が残した数々の幼いマルガリータ・テレサの肖像画。
彼女の儚い生涯とは対照的に、それらの作品は数百年経った今日でも、多くの人々に愛されています。
その永久性は、まるでマルガリータ・テレサが絵の中に閉じ込められ、永遠に生き続けているかのようにも思えます。
・参考書籍
『残酷な王と悲しみの王妃』著:中野京子(集英社)
『名画で読み解く ハプスブルク家12の物語』著:中野京子(光文社)
