「インスリン注射は一生続けなければいけないの?」「月々の治療費はどれくらいかかるの?」といった不安を感じている方は少なくないのではないでしょうか。1型糖尿病は膵臓(すいぞう)でインスリンを作る細胞が壊れてしまう病気で、外からのインスリン補充が長期にわたることが多いのが特徴です。月々どれくらいの費用がかかるのかを早めに知っておくことは、治療を続けていくうえでも、家計管理のうえでもとても重要です。この記事では、インスリン療法や持続血糖測定(CGM)にかかる月額費用の目安と、利用できる公的な医療費助成制度について解説します。

監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)
琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。内分泌代謝・糖尿病内科専門医。
事務長さぽーと株式会社代表取締役
加藤隆之(中小企業診断士・MBA)
診断直後にかかる費用
1型糖尿病は、喉の渇きや頻尿、急激な体重減少といった症状をきっかけに見つかることが多く、診断時にはすでに血糖値がかなり高くなっているケースが少なくありません。そのため多くの医療機関では、診断後に1〜2週間ほどの教育入院を行い、インスリンの量を調整しながら自己注射や血糖測定の方法を身につけていきます。
教育入院では、入院基本料に加えて、糖尿病教室での指導料や各種検査費用がかかります。3割負担の場合、1〜2週間の入院で自己負担が10万〜15万円程度になることもありますが、高額療養費制度(後述)を利用すれば、所得に応じた上限額まで負担を抑えられます。
■ 初診料・血液検査等・内容:HbA1c、血糖値、抗体検査など
・自己負担目安(3割):5,000〜10,000円
■ 教育入院(1〜2週間)
・内容:インスリン導入・自己注射指導・食事療法指導
・自己負担目安(3割):100,000〜150,000円
■ 退院後の外来(月1回)
・内容:血液検査・診察・指導料
・自己負担目安(3割):3,000〜6,000円
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
安定期の月々の治療費|インスリン注射とCGMの費用
症状が落ち着き、自己管理が軌道に乗った安定期には、治療方法によって月々の費用が変わります。主な治療法は、1日に何度もペン型注入器で注射する「頻回注射法」と、小型のポンプで24時間インスリンを注入する「持続皮下インスリン注入療法(CSII、シーエスアイアイ)」の2つです。
頻回注射法では、インスリン製剤の薬剤費(3割負担・薬の種類や使用量による)、在宅自己注射指導管理料(3割負担で月1,950〜2,250円程度)、血糖自己測定器加算(3割負担・測定頻度により月1,050〜4,470円)、外来診察料などを合わせて、月々の総額はおおむね15,000〜20,000円程度が目安です(インスリン使用量・血糖測定頻度・受診回数により変動します)。血糖測定用のテストストリップ、穿刺針、アルコール綿などの消耗品は、原則として血糖自己測定器加算に含まれ、医療機関から提供されます。CSII(インスリンポンプ療法)では、間歇注入シリンジポンプ加算(3割負担で月約4,500〜7,500円)が加わり、この加算には注入セットなどの必要な医療材料が含まれるため、一般的には頻回注射法より月々の自己負担が増えることが多いとされています。
近年は「間歇スキャン式持続血糖測定器(CGM)」と呼ばれるセンサー式の機器も広く使われるようになりました。腕に貼ったセンサーで血糖値の変化を自動的に記録する機器で、指先穿刺の回数を減らせるのが利点です。インスリン注射を1日1回以上行っている患者であれば保険適用となり、3か月に3回を上限に「血糖自己測定器加算」として1,250点(12,500円)が算定されます。3割負担であれば、月換算で約3,750円の自己負担となります(センサー代を含む)。
■ 頻回注射法(MDI)・主な内訳:インスリン製剤・在宅自己注射指導管理料・血糖自己測定器加算・診察料
・自己負担目安(月額・3割):15,000〜20,000円
■ CSII(インスリンポンプ)
・主な内訳:在宅自己注射指導管理料が「複雑な場合」となり、間歇注入シリンジポンプ加算(注入セット等の医療材料を含む)が加わる
・自己負担目安(月額・3割):20,000〜35,000円
■ CGM(間歇スキャン式)
・主な内訳:センサー代を含む血糖自己測定器加算
・自己負担目安(月額・3割):約3,750円(加算分)
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。

